ケーキは誰が買っているのか…ケーキへの支出傾向をさぐる(2021年公開版)
12月になると街中を彩り甘い香りを覚えさせるクリスマス向けのケーキ達。ケーキは具体的にどのような属性の人が買っているのか。総務省統計局の「家計調査」から検証する。
「家計調査」では該当する品目分類として「ケーキ」そのものが確認できる。その項目が指す具体的内容は説明によると次の通り。
●ケーキ
原則として、小麦粉をスポンジ状、タルト状に焼きあげ、それに生クリーム、果物などを飾ったもの。
〇ショートケーキ、モンブラン、チーズケーキ、サバラン
×バームクーヘン、パウンドケーキ、アップルパイ→「他の洋菓子」
バームクーヘンなどもクリスマスケーキとして用いられる場合があるかもしれないが、「他の洋菓子」にはエクレアやシュークリーム、ババロア、スイートポテト、ムースなど多様な洋菓子が該当するため、クリスマス向けのケーキの傾向を推し量るのには適していない。クリスマス用としてクッキーなどの洋菓子が用いられることもあるが(「ビスケット」が該当)、そもそもケーキではないので除外する。
「家計調査」では日次の支出額の動向は二人以上世帯のみで確認できる。その支出額動向を見ると次の通りで、多くの人が想像している通りクリスマスイブとその前後にもっとも支出額が高くなる=購入されているのが分かる。
ひな祭りの3月3日にもお祝い用のケーキが買われているようでやや高めの値が出ている。もっともクリスマスイブの12月24日をピークとする12月23日~25日には、通常の日と比べて非常に大きな額の支出が生じている。それだけ多くの人がクリスマスケーキを買っている次第ではある。
それでは具体的にいくつかの属性別に区分し、どのような層がケーキを買っているのか、その実情を見ていく。支出額を詳しく確認できるのは年ベースのみなので、まずは二人以上世帯(原則夫婦世帯)における、2020年の年間における「ケーキ」に対する支出額と購入頻度を示したのが次のグラフ。
あくまでも年ベースでの値なのでクリスマス向けのケーキの購入傾向とはそのまま結びつくわけではないが、日々ケーキを食べる状況も考えにくいので(イベント的な場面はひな祭りぐらいで、あとは家族構成員の誕生日があるぐらいだろうか)、おおよそクリスマス向けのケーキの購入動向と連動していると見てもよいだろう。
年齢階層別ではケーキへの支出額は29歳以下が一番高いが、29歳以下から40代まではほぼ同じで、それより年上になると低くなる傾向がある。購入頻度も29歳以下がピークで、29歳以下から40代まではほぼ同じとなり、50代以降では落ちていく。若年層から中年層まではケーキの購入性向に大きな違いが出ていないのは興味深い。
世帯年収別では一部階層でイレギュラーが生じているものの、おおよそきれいな形で高世帯年収の世帯ほど支出額・購入頻度が高くなる傾向が見られる。可処分所得に余裕があるため、クリスマスに限らず普段から、何かイベントが生じた時にもケーキを購入するようになるのだろう。
単身世帯は次の通りとなる。
年齢階層別では35~59歳が一番支出額は高く、60歳以上だけでなく34歳以下もそれよりやや低め。女性は男性の数割増しの額を支出しており、女性のケーキ好きな実情が確認できる。恐らくはクリスマス向けのケーキも、単身世帯の女性は男性よりもはるかに多くの割合で買い求めているのだろう。
世帯年収別も二人以上世帯とおおよそ同じように、高世帯年収ほど支出額も高くなる(ややばらつきがあるが)。世帯年収が低い階層は、高齢層が多いのも影響しているのだろう。
年ベースの動向のためにクリスマス向けケーキに限ったものとは断言できないが、おおよそケーキは高世帯年収・若年層ほど買い求める傾向があるようだ。元々洋菓子は高齢層ではあまり好まれない傾向があるのに加え、子供も独立して世帯を出ている、あるいは同居していても知人などとパーティーを楽しむ機会が多いことから、自宅でケーキを囲むのは望まれない可能性が高いことを考えると、当然の結果には違いない。
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