「毎朝、生き延びたと感じる」氷点下30度の夜を戦う北朝鮮国民
中国以上の厳しすぎるゼロコロナ政策で、経済に深刻なダメージが出ている北朝鮮。多くの庶民は、暖房に使う燃料の調達に苦労している。
北部の両江道(リャンガンド)は、寒波が訪れると最低気温が氷点下30度にまで下がる。道内のデイリーNK内部情報筋は、地域住民は石炭はもちろん、薪すら買えず、枝や枯れ草を集めていると伝えた。以前のように山に入ってに薪を切り出すことができればいいのだが、金正恩総書記の進めている植林事業により、無断伐採への取り締まりが強化され、以前のようにできなくなった。
また、輸出ができなくなった石炭が国内用に回されたおかげで、練炭の価格も下落しているが、それでも手が出せないほど困窮している。
ある人は分厚く着込んで、またある人は布団を何枚もかぶって床につくが、今後到来する本格的な冬をそれで乗り切れるのか心配だと、情報筋は不安をのぞかせた。
「食事にろくにありつけず、空腹を抱えて冷え切った部屋で寒さに耐える辛さは、体験した人でなければわからない。毎朝、目が覚めて息をして『生き残った』と感じる人も少なくない」(情報筋)
飢えと寒さに耐えかねて死んでしまう人も少なくないようだ。
そんな中で、窃盗の被害が多発している。自宅や工場の玄関ドアや壁板を盗まれたりする。
「皆が生きるのに精一杯なので、盗んで盗まれてを繰り返す。そんな暮らしをしているのに、国は何の対策もなく、大量に死人が出てから慌てふためくのだろう」(情報筋)
(参考記事:美女2人は「ある物」を盗み公開処刑でズタズタにされた)
さらに、脱北して中国に逃げ込む人も出ている。道内の大紅湍(テホンダン)郡の新徳(シンドク)労働者区では今年10月、3人が少し離れたところを流れる豆満江を渡り、中国に逃げ込み、2人が行方をくらました。
コロナ対策で国境警備が強化され、国境を越えようとして射殺される人も出たことから、しばらくは脱北者がほとんどいなかった。しかし最近は、座して死を待つより成功するチャンスに賭けようと脱北する人が多く、川が氷結すればさらに増えるだろうと情報筋は見ている。