お金の現状を年齢階層別にさぐる
・世帯主の年齢が20~40代の二人以上世帯では大よそ二世帯につき一世帯が共働き世帯(2017年)。
・二人以上世帯では世帯主の年齢が上になるに連れて貯蓄額は増加。通貨性預貯金比率が減り、定期性預貯金の比率が増加する(2017年)。
・二人以上世帯における負債の多くは住宅取得のための借財で、30~40代にローンを組んでいる人が多い(2017年)。
就業状況別の世帯構成の現状、そして年齢階層別貯蓄
お金関連の話は多方面な切り口で見ていく必要がある。貯蓄の額面だけで無くその種類、さらには負債状況も含め、二人以上世帯限定ではあるが世帯主の年齢階層別の違いを、総務省統計局の家計調査の公開データから確認していく。
まずは直近分となる2017年における世帯主の年齢階層別、世帯構成人数を計算し、グラフに描き起こす。二人以上世帯において、世帯主の年齢階層別に、どのような年齢・就業状態の人から構成されているのかを示したもの。あくまでも平均値だが、状況を把握する参考資料としては有益に違いない。
若年層世帯では子供の数(18歳未満)は大体1人強で、世帯主が50代になるまでにはほぼ一人立ち・別居をし、該当世帯の人数カウントからは外れる。また、世帯主だけの専業就業(=配偶者は専業主婦・主夫、子供も無職との前提)なら「18~64歳有職」は1.0人となるはずなので、20~40代は大体二世帯につき一世帯、50代になるとそれ以上の高い比率で共働き世帯であることが推定される。さらに、50代は「18~64歳有職」「18~64歳無職」を足すと2.63人となるため、両親に加えて18歳以上の子供が同一世帯内におり、少なからずが無職であることも想像できる。
一方、世帯主の年齢階層別貯蓄構成は次の通り。今件は「貯蓄のみ」の値であり、負債は考慮・相殺していないことに注意をする必要がある(例えば貯蓄が100万円、負債が住宅ローンなどで3000万円の世帯でも、今件の貯蓄は100万円として計上されている)。
蓄財は言葉の通り財を積み重ねるものであり、年齢とともに貯蓄額は増加する。また、貯蓄額の増加とともに、通貨性預貯金比率が減り、定期性預貯金の比率が増加していく。収入が増えて余力が生じるため、その余力を普段出し入れしない、その分ほんのわずかだが利息が付加される定期に回す図式である。同時に有価証券の比率も上乗せされるが、定期性預貯金と比べればわずかな増加に過ぎない。
また、50代までは比率、60代までは金額面で生命保険の値が増加するが、それ以降は減っていく。新規加入にしても既存加入保険の追加にしても、保険料が高くなること、さらには受け取れる保険金とのバランスを考えて組み換え・解約していく事例が増えた結果といえる。
負債は住宅ローンがほとんど
続いて世帯主の年齢階層別「負債」の構成内容。住宅ローンが中年層において大きな負担である実態がよく分かるグラフが生成される。
負債の多くは住宅取得のための借財、しかも30~40代にローンを組んでいる人が多数である状況が把握できる。そして60代までにはほぼ完済し、それに伴い負債そのものも大きく減っている。見方を変えればローンを完済済み、住宅購入の予定が無い人、相続などで住宅を取得済みの人は住宅ローンの負担が無いため、負債額全体も小さな額面で済んでいる。
なお年齢階層別の純貯蓄額(貯蓄現在高-負債現在高)を見ても、住宅ローンの重みがそのまま40代までの「純貯蓄額がマイナス」との状態に結びついているのが分かる。
世帯主の年齢階層別に世帯数と貯蓄額比率を
最後に世帯主の年齢階層別構成世帯数比と、貯蓄額の比率。こちらもまた現状認識のための概念的な結果。世帯別の貯蓄額は上にある通りで、しかも「二人以上世帯」に限定されてはいるが(単身世帯は含まれない)、貯蓄の片寄り具合が分かる図となっている。
負債が大きいと貯蓄の運用自由度は下がる。若年層は住宅ローンを抱えている事例も多く、負債も大きいことから、実質的な「余力としての貯蓄」はもう少し青系統色の面積が大きなものとなる。
高齢世帯数そのものが増加している、経年による蓄財の効果が表れているのも要因の一つだが、富の「年齢階層で区分した各層間における」(個々世帯では無いことに注意)偏在があらためて分かる結果には違いない。
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