新型コロナで大学新学期はオンライン授業化、大学生はWi-Fi求めて密集で感染や受講できないリスクも
新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、卒業式・入学式中止や新学期開始時期を遅らせる大学が続出している。世界的に見ても、ハーバード大学やMITなどオンライン講義に移行する大学が続出。日本でも、たとえば東京大学は「対面での講義は最小限とし、オンライン化を奨励し推奨する」と発表。それ以外にも、当面の間オンライン授業とすることを発表している大学が多いようだ。
突然の大学のオンライン化で戸惑っている大学生は多いかもしれない。このまま新学期に突入して問題はないのだろうか。
大学生の自宅のネット環境は?
大学生たちが自宅でオンライン授業を受ける場合、ネット環境が整っている必要がある。ネット環境にはいくつかの種類がある。
光回線が一番一般的な方法だ。データ容量に制限もなく、速度は速く安定していて使い勝手はいいだろう。実家住まいであれば既に光回線を引いてあるかもしれないが、一人暮らしの場合は利用開始前に工事が必要であり、料金も若干高くなってしまう。
一人暮らしなどで自宅にWi-Fi環境が整っていない場合、モバイルWi-Fi(ポケットWi-Fi)を利用するという方法があるだろう。工事不要ですぐに利用でき、データ容量に制限ないものもある上、料金が光回線より少し安くなる。
しかし実際の大学生は、スマホの契約を大容量にしてテザリングを使ったり、フリーWi-Fiを利用している例も少なくない。
なお、10代から70代の男女を対象としたフルノシステムズの「Wi-Fi利用に関するアンケート調査」(2019年2月)によると、無線LANルーターやポケットWi-Fiなどの利用により、自宅でWi-Fiが使えるようにしている人は84%だった。
全世代でも8割なのだから、まして大学生の一人暮らしとなると、自宅にWi-Fi環境が整っていない可能性が高くなる。実際、大学生や大学教員などにヒアリングしたところ、自宅にWi-Fi環境がない大学生は少なくないようだ。
大学生はモバイルWi-Fi契約を
Zoomでのオンライン授業を考えている大学も多いそうだ。Zoomは1時間で200〜300MBの容量が必要となるという。週に何コマもオンライン授業を受ける場合、スマホの大容量プランだけで対応しようとするとかなりきついことが予想される。演習や語学実習などつなぎっぱなしにしなければならない授業も多く、授業を受けるだけで容量を使い切ってしまう可能性も高い。
フリーWi-Fiがつながるスポットに行く場合、大学生が集まってしまう可能性がある。しかしそれでは新型コロナウイルス感染のリスクも高まってしまう。これからの大学生は、光回線などを自宅に引くかモバイルWi-Fiを契約して、自宅にWi-Fi環境を整える必要があるのだ。
これから準備する場合、授業開始までそれほど時間がないことや引っ越しする可能性を考えると、モバイルWi-Fi契約が確実と言えるかもしれない。容量無制限で速度制限がかからないものを選んで契約するといいだろう。WiMAXやどんなときもWi-Fiなどが人気のようだ。
問題は大学生だけでなく、大学側にもありそうだ。既にある大学ではオンライン授業でZoomを使ったが、2時間の授業で追い出される参加者が出た上、動画は動かず、音声も遅れて聞こえたそうだ。
ニューズウィークの記事によると、韓国では3月に大学開始だが、開始から2週間は日本に先駆けてオンライン授業となった。それによって、大学側に混乱が起きているという。大学側にオンライン授業を行うだけのネット環境やスタジオなどのインフラ設備が整っていず、年配の教授たちは不慣れで混乱。さらに本来50名程度が出席する科目に800名以上が集まりイタズラを書き込んで講義を妨害したというのだ。日本でもこのような事態が起きないとは限らない。
授業が本格的に始まるまでもうそれほど時間はない。大学生側も大学側も準備を急いで整え、学ぶための環境づくりに励んでほしい。