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20年で平日朝では大きな早起き化が発生…10年単位での睡眠の変化

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 睡眠は人にとって欠かせない生理的行動。(写真:アフロ)

日常生活で欠かせない生理的行動の一つに睡眠がある。その睡眠の現状と昔からの変化をNHK放送文化研究所が2021年5月に発表した2020年国民生活時間調査(※)の報告書を基に確認する。

「国民生活時間調査」は現時点で1995年以降5年おきのデータを取得可能となっている。そこで直近の2020年、そして10年前の2010年と20年前の2000年について、各年の全体における睡眠行為者率(各時点で寝ている人の割合)の推移を抽出し、人の睡眠がいかなる状況なのかとともに、10年単位で変化が生じているのかを精査していく。

↑ 睡眠行為者率(平日、調査年別)
↑ 睡眠行為者率(平日、調査年別)

↑ 睡眠行為者率(土曜、調査年別)
↑ 睡眠行為者率(土曜、調査年別)

↑ 睡眠行為者率(日曜、調査年別)
↑ 睡眠行為者率(日曜、調査年別)

日中の睡眠行為者率が極めて低い、つまりほとんどの人が起きているのは当たり前の結果ではあるが、同時に深夜ゼロ時の時点でも2割前後の人がまだ起きている、午前3時前後になってようやくほとんどの人が床につく実情が確認できる(100%にならないのは、深夜就業の人や勉強をしている人、そして誤回答によるものと思われる)。

また、平日と比べて土曜・日曜は起きる時間が遅いこと、寝る時間が微妙にずれていることなども確認できる。この曜日の違いを分かりやすいように、直近の2020年分に関して重ねたのが次のグラフ。

↑ 睡眠行為者率(曜日別)(2020年)
↑ 睡眠行為者率(曜日別)(2020年)

↑ 睡眠行為者率(19時以降、曜日別)(2020年)
↑ 睡眠行為者率(19時以降、曜日別)(2020年)

回答者全員が週休2日制ではないこと、その翌日が休みか否かの違いからか、平日よりも土曜・日曜が遅起きなのには違いないが、土曜よりも日曜の方が起きる時間が遅く、寝る時間は早くなっている。一番遅くまで起きているのは日曜ではなく、土曜ですらなく、平日となっているのは興味深い。

他方、経年変化だが、10年程度の時間の流れで睡眠動向が大きな変化は生じておらず、3本のグラフはほぼ重なる形となっており、変化を見出しにくい。かろうじて朝方において早起きになっているかな、というのが分かる程度。そこで最古データの2000年分を基準として、10年後の2010年、20年後で直近の2020年はどれほど変化したのか、睡眠行為者率の差異の%ポイント(ppt)を計算したのが次のグラフ。マイナス幅が大きいほど睡眠行為者が減っている、つまり起きている人が多い、プラス幅が大きいほど睡眠行為者が増えている、つまり寝ている人が多いことになる。

↑ 睡眠行為者率(平日、2000年からの変移、調査年別、ppt)
↑ 睡眠行為者率(平日、2000年からの変移、調査年別、ppt)

↑ 睡眠行為者率(土曜、2000年からの変移、調査年別、ppt)
↑ 睡眠行為者率(土曜、2000年からの変移、調査年別、ppt)

↑ 睡眠行為者率(日曜、2000年からの変移、調査年別、ppt)
↑ 睡眠行為者率(日曜、2000年からの変移、調査年別、ppt)

まず平日だが、朝の早起き化が進んでいることは間違いない。他方夜の就寝動向では2010年で22時半以降にマイナス化が生じている=夜更かし化が生じているものの、2020年ではおおよそ早寝化の動きが起きているのが確認できる。

土曜・日曜は値のぶれがやや大きく、傾向を見出すことは難しいが、いくぶん強引に見れば、土曜は起床時間が二分化(早起き化した人と遅く起きる人に分かれる)し、夜は早寝する傾向が増えているものの、日をまたいで起きている人は増えていると読める。他方日曜は早起き化の傾向にあると読めるだろうか。

あくまでも今件は10年単位の動向で、傾向だった動きかを判断するのには調査回数の不足は否めない。また2020年分に限れば新型コロナウイルスの流行で社会様式が大きく変化しており、それが起床時間や就寝時間を変えてしまった可能性は否定できない。とはいえ、調査対象母集団全体≒国民全体における睡眠スタイルに、少しずつ変化が生じている雰囲気は把握できよう。

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※2020年国民生活時間調査

住民基本台帳から層化無作為二段抽出法によって選ばれた10歳以上の日本国民7200人を対象に、2020年10月13日から18日にかけて郵送法によるプリコード方式で行われたもので、有効回答数は4247人分。過去の調査もほぼ同様に行われているが、2015年以前は配布回収法によって実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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