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衣料品から食料品へ…スーパーやデパートの販売商品の構成はどのような変化を示しているのか

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 昔も今も変わらぬ威厳を持つデパート。しかし取扱商品のウェイトは…

昔衣料で今食料、大きく変化する商品販売シェア

かつてのような勢いは無くなったものの、今でもデパートは買い物需要を満たす重要な商用施設に違いない。しかし昔と今とでは、取扱商品のウェイトが随分と変化している。その実態を経産省の商業動態統計調査の公開値から探る。

よく見聞きする「デパート」と「百貨店」の違いだが、所属協会の差異でしかなく、中身はほぼ同じ。そのデパートとスーパーを合計したものを元に確認していく。また全店舗ベースでの値を取得した上で計算をしている。

まずは主要品目別売上構成比。最新データ(年次は2015年分まで)を反映した結果、次のようなグラフになった。昔は衣料品の方がウェイトは大きかったが、「デパ地下」といった言葉が露出しはじめた20世紀末から21世紀初頭にかけて、食料品が伸び、衣料品・食料品間でシェアにおける逆転現象が起きている。

↑ 百貨店+スーパーにおける主要品目別売上構成比(~2015年)
↑ 百貨店+スーパーにおける主要品目別売上構成比(~2015年)

衣料品と食品とでは商品単価が異なり、回転率も別物。売り場によって明確な区分がされているとはいえ、百貨店やスーパーのビジネススタイルや集客状況が少しずつ変化するに連れ、商品の売上高構成比も様変わりしている様子が分かる。あるいは逆で、売り上げ(≒消費者の需要)の伸び縮みの影響を受け、デパートそのものが進化を遂げている部分もあるだろう。

デパートは少しずつ「衣料品のデパート」から「衣料品も売る、食品のデパート」のスタイルに移り変わりつつあると見た方が間違いがない。この数年(2009年以降)は食料品だけで売上の過半数に達していることから、「デパ地下」だけでデパート全体の半分の売上をまかなっていることになる(食品売り場が地下にないデパートもあるが)。

直近の2015年では、衣料品22.0%(前年比マイナス0.4ppt)、食料品56.3%(前年比プラス1.8ppt)、住関品など20.7%(前年比マイナス1.5ppt)。衣料品の漸減、食料品の漸増は10年単位での継続傾向だが、ここ数年奮闘していた住関品などが再びシェア縮小の動きに転じており、ますます「食品デパート化」の色合いが強くなっている。さらにここ数年では食料品のシェア、および後述する金額が大いに伸長しており、消費者の利用性向、そしてライフスタイルに大きな変化が生じていることをうかがわせる。

売上額面は?!

次に売上高の積み上げグラフを作成する。これを見ると「衣料品と食料品の売上高構成比順位が入れ替わる」タイミングで、総売上高が天井を打ち、その後は漸減している状況が分かる。なお直近の6年間分(震災直前年と震災年、その後)を抽出したグラフも別途作成した。

↑ 百貨店+スーパーにおける主要品目別売上(兆円)(~2015年)
↑ 百貨店+スーパーにおける主要品目別売上(兆円)(~2015年)
↑ 百貨店+スーパーにおける主要品目別売上(兆円)(2010~2015年)
↑ 百貨店+スーパーにおける主要品目別売上(兆円)(2010~2015年)

売上高の面から見ても、1990年後半がデパートなどのターニングポイントと考えるのがよさそうだ。今世紀に入ってから、特にこの数年の不景気の中でデパートなどの経営悪化が取り沙汰されているが、問題そのものは10年前ほど前から、あるいはさらにさかのぼり、衣料品の構成比が減少を見始めた1990年前後(20年以上前)からのものであったことが分かる。

またシェア動向を示すグラフでも明らかだが、すでにデパートは食料品が販売品のメイン。衣料品と住関品などを合わせても、まだ食料品には届かない実態が、最新値となる2015年の売上状況で改めて確認できる。その直近の2015年を含む6年間の推移でも、衣料品の売り上げは引き続き減少し、食料品は有意に増加している。住関品はまだふらつき気味な動きの中にあるため上げ下げを繰り返しているが、少なくとも食料品のようにしっかりとした上昇では無く、むしろ下がる気配。

昨今の売上不調が「デパート」としての店舗スタイル上の問題なのか、それとも単に周辺環境の変化に応じた改善の模索と実行が足りないのか。このデータだけでは判断は難しい。無論、何もせずに手をこまねいているだけでは、状況の改善を期待できないことは間違いない。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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