【高野町(高野山エリア)】子ども達と地域を繋げる、足元の暮らしを知る、人を知る教育プログラム
今回、長文なのをお詫びします。
書いていたら熱くなってしまいました、申し訳ありません。
まずはじめに、皆さんが情報を知る手段の1つに新聞があります。
ネットでも情報を入手しやすくなったとはいえ、住んでいる地域の情報を入手するには新聞はまだまだ重要かと思います。
新聞には、全国で販売される「全国紙」と特定の地方を販売対象とする「地方紙」とがあります。
「全国紙」は全国的に広く購読され高い知名度をもつ新聞であり、「読売新聞」「朝日新聞」「毎日新聞」「日本経済新聞」「産経新聞」の5紙が該当し、ブロック紙は全国紙に次ぐ規模をもち、複数の県域あるいはそれに相当する面積を配布エリアとして有する新聞で、「中日新聞」「河北新報」「西日本新聞」などが挙げられます。
地方紙は各県域を配布エリアとし、「京都新聞」「信濃毎日新聞」「福島民報」「神奈川新聞」など多数存在しています。
その中で、県内全域を網羅する新聞が無いのは全国で、和歌山と大阪のみ。
大阪は都会なので新聞が無くても情報を入手できる媒体がネットニュースやフリーペーパー等で多数ありますが、和歌山は紙もネットもメディアが非常に少なく、あってもごく局所的なエリアの情報であったり週1回だったり、質も量も「地域の情報を入手するには最貧弱な県」になります。(筆者調べ)
その結果、悲しいことに、子どもたちが和歌山県内の広域&地元のエリアのことすら充分知らないまま、大学進学や就職のために県外に出て、「和歌山は何にもない」と誤解してふるさとに関心を持ちづらい現状があります。
地域のことを盛り上げたくても、近くにいる何か活動している人材の存在を知るのも、仲間を探すのも、イベント発信するのも難しい土地です。(私はその解消の一助になればという想いで、この記者をしています)
そんな『地元の産業・文化・ヒト・モノ・コトを地元民が知りづらい』和歌山で、高野町立高野山中学校の生徒が地域とつながり、授業で商品開発して、リアル販売するということで伺ってきました!
私の訪問した当日は、ただでさえ冬が早い高野山で、しばらく暖かかったのが一気に寒くなった日。
「ふるさと学習」授業の一環で、中2と中3の子どもたちが『持続可能なふるさとづくりを考える』テーマで、「パフェ」チームと「団子」チームに分かれて角濱ごまとうふ総本舗の店舗前でテントを構えて2日間限定でリアル販売していました。
それぞれの商品には子どもたちが考えた高野山に関係したコンセプトがあり、パフェはお寺がハレの日に掲げる五色幕、団子は空海の一生をベースに企画し、自分たちで調べて、試作を重ねて、半年間かけて商品化したそうです。
パフェの構造
抹茶バームクーヘン、抹茶クリーム、ミカン、柿、イチゴ味グラノーラ、胡麻豆腐入りクリーム、ブドウで、五色幕の5色をイメージ。冷たいメニュー。
団子の構造
タレが3種類あり、弘法大師空海の一生の中で、四国生まれを瀬戸内レモン味タレに、中国での密教を学ぶ姿をマーボータレに、高野山のことをみたらしタレに込めて表現して、胡麻豆腐を練り込んだ団子につける。これは温かいメニュー。
生徒の声(全員にはお話を伺えていません)
大変だったところ
・前日の仕込み作業で、柿を細かく細かく切るのが大変でした。
・タレも3種類それぞれ自分たちで仕込んだところ。
・どういうふうに商品を提供するかを悩んで考えました。
面白かったところ
・商品を開発するのに、初めの自分のイメージと、実際に売るものを作るのとでは全然違って難しく、それが面白かった。
・食品づくりが楽しい。
・売るのが楽しい。
・役割を分担して、みんなで一つのことをやるのが楽しかった。
そして、ブース横で拝見していて、個人的な感想ですが、
寒い中ではありましたが、パフェチームは実際のスイーツのプロ(橋本市紀ノ光台の「パティスリーエイバヤシ」)から指導を受けて、現場でもどんどん学びつつ、みんなでわちゃわちゃと楽しく販売していました。また、日本人の通行人だけでなく外国人観光客にも臆せず営業かけていて、実践力・実戦力が鍛えられているように見えました。
パフェチームが通行人から見えづらい奥側でパフェの仕上げをしていて、どんな作業をしているのか分かりづらかったのと比べて、団子チームの方は前日に仕込んだ団子を再度温める工程を道路側でしており「何かやってる」感が分かりやすく、また、青ジャージの彼がダーク系の地味色の制服やジャージばかりのテント内で動きが特に目立っており、ジャージそのものが「生徒感」をいい感じにかもしだしていて、人通りが少なめな大門側エリアで離れた場所からでも目立つ良い広告塔に見えました。
担当者の中岡先生と学習指導員の浦井さんにも伺いました
「授業の出口が商品化である理由」は?
学びを机上の空論で終わらせたくないので、子どもたちに考えさせ、体を動かし、責任ある仕事を任せ、それが一見成功に見えても失敗に見えても問わず、何かアクションを起こさせることをさせたい。さらには毎年同じ内容は行わず、切り口を変えたりブラッシュアップした取り組みを行っている。
大変だったところは?
・食品開発は初めてだったので全体のイメージが充分つかみきれなかった。
・企画の中の、学校外との根回しや企画調整。
・「モノづくりの学び」だけでなく、「おいしさ」と「高野山らしさ」を込めて学びを提供するところ。
・学校を超えて、子どもたちと地域が関わるきっかけを作り、町の未来を考え、地元へ関わりたい熱意を地域の方にも知ってもらうにはどうしたら良いか。
なお、私が訪問した2年生、3年生の食品開発の内容ばかりでなく、「ふるさと学習」授業として1年生は「高野山をもっと知ってもらうためのガイドブック作り」をして、観光客用のルートではないエリアに注目して調べてまとめ上げ、実際に製作しています。
それらを網羅した、今回のプロジェクトの総まとめの学習発表会を近々に行います!
日時:12/8 14:00〜15:30
場所:大師教会(和歌山県伊都郡高野町高野山347)
※予約無しで誰でも参加可能
冒頭に書いた通り、和歌山県、とくに和歌山県北部はみんなが地元・足元で起きていることを知りづらい、伝えづらい環境です。
ぜひ地域の皆様にもお越しいただいて、学校と繋がったり、子どもたちに地域の人の生き様を見せて頂いたり魅力をさらに伝えたり、前向きなご意見を頂ければともっと高野町が盛り上げるのではと個人的に思います。観光客ではなく、保護者だけでもなく、地域に住んでいる大人の背中もたくさん見せてあげてください。
どうぞ宜しくお願い致します。