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20歳の52.9%は「経済的余裕が無くて車を保有できない」

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
「若者の(自動)車離れ」というけれど(写真:アフロ)

「若者の(自動)車離れ」が叫ばれる昨今、その若者自身は車にどのような気持ちを抱いているのか。新成人の人達の意見をソニー損害保険が2024年1月に発表した調査報告書「2024年 20歳のカーライフ意識調査」(※)から確認する。

昨今の「若者の車離れ」と呼ばれている状況に対し、若者自身の代表的な立場となる新成人にいくつかの質問を実施。それぞれに「とても当てはまる」「やや当てはまる」「どちらとも言えない」「あまり当てはまらない」「まったく当てはまらない」の5つの選択肢から自分の気持ちにもっとも近いものを選んでもらい、そのうち前者2つ、つまり「当てはまる」派の回答数をまとめた結果が次のグラフ。例えば「若者の車離れ」とは自分のことの項目では全体で32.2%なので、20歳の32.2%は「とても当てはまる」「やや当てはまる」のいずれかと答えている。掲載されている数字以外はすべて否定派ではなく、「どちらとも言えない」も含まれている事に注意を要する。

↑ 「若者の車離れ」と呼ばれる状況についての意識(20歳対象、「当てはまる」派率)(2023年)
↑ 「若者の車離れ」と呼ばれる状況についての意識(20歳対象、「当てはまる」派率)(2023年)

「若者の車離れ」を自覚している人は32.2%。微妙な値ではある。一方「車に興味あり」とする人は全体では38.7%だが、女性よりも男性の方が高い値を示している。自動車への必然性が高い立場にあることを考えれば、興味を示すのも当然。

注目すべきは「車保有の経済的余裕が無い」。こちらは5割強の同意率。購入時の初期投資コスト、各種維持費、そして車検代と定期的に多額の出費を求められるため、自動車の保有にはそれなりの経済的裏付けが求められる。その裏付け(に自信)が無い人が、20歳において5割強もいる実態は、自動車関係者は大いに認識しておくべき。

一方、車そのものの魅力に関する話だが、「保有は格好いい」「保有している大人は格好いい」は全体で5割近く、「メーカーにもっと若者向けの車を作ってほしい」との話は全体で4割強。

余談となるが、自動車保有関連で常に言及される、経済的余裕に関する視点においては、(少なくとも今調査項目の始まった2010年以降では)漸減している。なお2017年は該当項目の調査がなく、2018年以降は都市部・地方の区分における値が非公開のため空欄となっている。

↑ 車保有の経済的余裕が無いと思う割合(各年新成人対象、「当てはまる」派合計)
↑ 車保有の経済的余裕が無いと思う割合(各年新成人対象、「当てはまる」派合計)

経済的視点からの「若年層の自動車離れ」的な傾向は漸減している、特に男性においてその傾向が著しいと解釈してよさそうだ。

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※2024年 20歳のカーライフ意識調査

2023年11月13日から11月17日にかけて、2003年4月2日~2004年4月1日生まれの男女に対しインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000件。男女比は1対1。調査実施機関はネットエイジア。なお今件調査における「都市部」とは、市・区における人口ランキングの上位都市(1位から8位)である、北海道札幌市、東京都23区、神奈川県横浜市、愛知県名古屋市、京都府京都市、大阪府大阪市、兵庫県神戸市、福岡県福岡市。それ以外はすべて「地方」。

今調査は前年まで「新成人のカーライフ意識調査」として実施してきたが、2022年4月の成年年齢引き下げに伴い、「20歳のカーライフ意識調査」と名前を変えて実施されている。調査内容・対象はほぼ同一で、データの連続性もほぼ維持されているとみなしてよい。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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