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Twitter認証バッジルールの変更で「企業や政府関係者のなりすまし」が困難に。

大元隆志CISOアドバイザー
画像引用:AUTOMATON。

 Twitter社は4月20日に従来から著名人や政府、企業に付与されていた「青バッジ」を一斉に削除し、新しい認定バッジの運用を開始すると宣言しました。

 運用方針変更に伴い今後は以下の通りの意味となります。

 ・青色 = Twitter有料会員(一般人)

 ・金色 = 企業等の公式ビジネスアカウント

 ・灰色 = 政府関係

■著名人や有識者を示す意味は無くなる

 これまで「青バッジ」がついていると「著名人」や「有識者」であるというイメージが定着していたかと思いますが、今後はこの認識は誤りとなります。

 Twitterの長文投稿等のサービスを受けている「有料会員」という意味しかありません。

■政府や企業を示すアカウントの信頼性は向上

 新たに企業や政府を示す、金色と灰色のバッジの利用も開始されています。

・金色、企業の公式ビジネスアカウント

 "Twitter Verified Organizationsのサブスクリプション"を購入した企業は、その企業に関連する個人または団体を関係者/関係組織と表現することが可能になります。

 Twitter Verified Organizationsに加入した企業は関係者/関係組織を管理するための新しいツールにアクセスできるようになります。

 関係者としたアカウントは、認証(青、金、灰色のチェックマーク)され、チェックマークの横に親会社のプロフィール写真の小さな画像である提携バッジが表示されるようになります。

 これにより、例えば、企業は、リーダーシップ、ブランド、サポートハンドル、従業員、チームなどを関係者/関係組織として明示出来るようになります。

 これまでの「Twitter社の目利き」で付与されていた「青バッジ」ではなく、企業側が明確に自社の公式アカウントとその関連グループを指定することが出来るようになります。

・灰色、政府関係のアカウント

 灰色は政府関係であることを示します。灰色バッジはこれまで通り無料で取得可能です。

 以下の申請フォームに記入し承認されれば灰色バッジが付与されます。

 申請フォーム

■政府や企業を名乗るなりすましは困難に

 一部報道では今回の認定バッジ変更で「なりすましが横行する」との声があがっていますが、新しい運用ルールが定着すれば「影響度の高いなりすまし」はむしろ減少すると考えられます。

 これまでは、著名人、有識者、政府、企業、全てが「青バッジ」で統一されていました。しかし、では著名人や有識者であるという明確な基準はあったのでしょうか?というと疑問を感じていた人も多いのではないでしょうか。

 以前の運用方法では「Twitter社を騙すことが出来ればなりすますことは可能」でした。また、政府関係者であっても全ての政府関係者にバッジが付与されていたわけではありません。

 今後の運用ルール大きく変わり「誰が本人や公式アカウントなのか」は企業や組織に委ねるという運営方針に変わったという点です。

 企業側が公式アカウントとしてTwitterにお金を払い、審査を受けてそれにパスした企業が「自社の判断」でグループ企業や従業員に「公式バッジを与えていく」ことになります。

 企業自らが判断して付与していくというルールに代わるため「これまで以上に信頼性のあるアカウント」であると考えることが出来るようになります。政府関係についても同様です。

 結果として混乱はあるものの、この新制度が定着すれば金色、灰色バッジについての身元保証はこれまて以上に信頼のおけるものになることが予想されます。

■著名人、有識者を示すバッジは現在は存在しない

 企業や政府関係アカウントに関しては「これまで以上に身元保証が厳格化される」ことが期待されますが、著名人や有識者を示す意味は無くなる点に注意が必要です。

 今後、これらの人物を示すバッジが新たに新設されることも期待されますが、現時点ではこれに該当するバッジはなく「青色バッジ」は有料購読者でしか無い点に注意が必要です。

CISOアドバイザー

通信事業者用スパムメール対策、VoIP脆弱性診断等の経験を経て、現在は企業セキュリティの現状課題分析から対策ソリューションの検討、セキュリティトレーニング等企業経営におけるセキュリティ業務を幅広く支援。 ITやセキュリティの知識が無い人にセキュリティのリスクを解りやすく伝えます。 受賞歴:アカマイ社 ゼロトラストセキュリティアワード、マカフィー社 CASBパートナーオブ・ザ・イヤー等。所有資格:CISM、CISA、CDPSE、AWS SA Pro、CCSK、個人情報保護監査人、シニアモバイルシステムコンサルタント。書籍:『ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦』など著書多数。

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