BMWが本気で電動バイクを開発中 キーワードはやはり水平対向だった
フラットツインを電動にしたらどうなるか!?
BMWが本気で電動スポーツバイクの開発を進めている。
『BMW Motorrad Vision DC Roadster』と名付けられたコンセプトモデルは、BMWのアイデンティティである“水平対向エンジンを「電動」に置き換えたらどうなるか”がテーマとして掲げられている。
ちなみにエンジンのシリンダーが車体の左右に突き出した独特のレイアウトが特徴の、通称フラットツインまたはボクサーとも呼ばれる水平対向2気筒は、BMW初のモーターサイクルとして歴史に名を刻む1923年製「R32」が元祖。以来、100年近くにわたり現代のRシリーズまで受け継がれている。
市場投入は意外に近いかも
Vision DC Roadsterは今年の6月にミュンヘンで発表され、その後8月に開催されたドイツ本国のBMWモトラッドデイズや9月のフランクフルト・モーターショーにも展示されて話題を呼んでいる。すでに公開されているPV動画では実際にワインディングを駆け抜けるシーンも披露するなど、コンセプトモデルでありながら今にもローンチしそうな完成度だ。
それもそのはず、BMWは4輪ではすでに2011年から100%電動の「i3」や「i8」などの量産モデルを市場投入していて、2輪でも2017年に4輪と共通のバッテリーテクノロジーを採用した「C evolution」をデビューさせている。つまり、BMWはEV作りの土台が出来上がっているというのが強みだ。
Electrical awakening of the boxer engine - the Vision DC Roadster
フラットツインは冷却システムへ
さて、そのVision DC Roadsterだが、車体のコアになる部分にはエンジンの代わりに巨大なバッテリーとモーターから成る電動ユニットが組み込まれている。そして、その両サイドにはBMWを象徴するデザインの冷却装置が取り付けられた。エンジンで言えばちょうどヘッドカバーに当たる部分にファンが内蔵され、最も効率的に冷却できるレイアウトでバッテリーを冷やす仕組みになっていると思われる。詳しい機構は分からないが、その発想はまさしく今のフラットツインと同じだ。そして、この冷却装置は電源ONにするとボディからせり出してくる、という遊び心も演出されている。
斬新さの中に古典的なBMWをオマージュ
スペックは明らかにされていないが、おそらくは強大なトルクを発生する円筒型モーターはバッテリーの底部に置かれ、そこから1次減速ギアを通じて片持ち式のスイングアームに内蔵されたシャフトドライブによって後輪に駆動力を伝える仕組み。フロントまわりはBMWの旧Kシリーズに採用されていたデュオレバータイプでサスペンション機構は分離されている。極端にウェッジシェイプされた車体と宙に浮いたように見えるシートレール、おそらくは無数のスリットがバッテリーの熱を放出するヒートシンクとして機能する独特のフレーム構造など、従来のモーターサイクルとは中身も外見も全く異なるものでありながら、露出したドライブシャフトやデュオレバーは古典的なBMWの機能と造形をオマージュしたものとなっている。
100年後のBMWもフラットツイン!?
実はBMWは創業100周年を迎えた2016年にも大胆な未来のバイクを発表している。これは次の100年を見据えた「VISION NEXT 100」というコンセプトモデルで、バイク自体に自動バランス機能があり、特殊なゴーグルを装備することで周囲の危険情報をキャッチし回避できるためヘルメットも必要ないという、まさにSF的な代物だった。
しかしながら、遥か未来のパワーユニットにも往年のR32をイメージしたフラットツインの造形が投影されていたことは記憶に新しい。エンジンが電動モーターや他の動力に置き換わろうとも、時代を超えた象徴としてのフラットツインは生き続ける。それはまさしくBMWの誇りでありヘリテイジなのだ。
Vision DC Roadsterは今年11月にミラノで開催されるEICMA2019にも出展されるはずだ。続報を期待したい。
[出典:Webikeバイクニュース https://news.webike.net/2019/10/03/166681/]