コーヒー飲料は単身世帯と二人以上世帯、どちらがより多く買っているのか(2019年時点最新版)
コンビニのカウンターコーヒーの普及とともにコーヒー飲料(※)の購入性向そのものが伸びているとの指摘がある。ではそのコーヒー飲料は単身世帯と二人以上世帯ではどちらが多く買っているのだろうか。その実情を総務省統計局の家計調査の公開結果から確認する。
コーヒー飲料の購入性向だが、家計調査では月次のデータは二人以上世帯しか収録されていない。単身世帯の調査値も計上されているのは四半期単位(Q)か年単位のみ。そこで四半期単位の世帯購入頻度(※※)と支出金額の双方から、コーヒー飲料の購入性向を確認する。
世帯購入頻度・支出金額の動向を見れば分かる通り、単身世帯はコーヒー飲料について、年を通して購入しているが、二人以上世帯では夏場、特にQ3(7~9月の夏場)にかけて大きく消費を拡大している。涼を得るためのアイスコーヒーによる需要が伸びているものと考えられる。
コーヒー飲料が明らかに上向きを示したのは2013年後半期。その時期に注目すると、世帯購入頻度では元々高めの単身世帯はボックス圏内で推移しているようだが、二人以上世帯はピーク時の増加タイミングそのものは変わらず、全体的に、そして確実に増加を果たしているのが分かる。ピークとなるQ3、そして閑散期となるQ1(1月から3月の冬場)の値が、2013年以降は大きく跳ねているのが確認できる。
この傾向は支出金額の動向でも変わらない。単身世帯の支出金額はほぼ横ばいだが、二人以上世帯は確実に波打ちながらの増加傾向にある。イートインコーナーの新設や拡充、コーヒーと合う多様なスイーツ群の展開、さらにはコーヒー自体の種類が増え、そして一部コンビニにおける価格引き下げに伴い、親子での買い物のついで買いアイテムとして認知されるようになったのかもしれない。一方で冬場における二人以上世帯の減少をいかに抑えるかが、今後の課題となるのは言うまでも無い。
二人以上世帯の月次動向で変化を示した2016年以降に限って見直すと、二人以上世帯では明らかに世帯購入頻度が頭打ちとなり、支出金額も横ばい。世帯単位では成長が頭打ちとなっている。単身世帯では(ぶれが目立つものの)購入頻度は増加を続けているが、支出金額が落ちており、低単価化の効果が表れているようすがうかがえる(カウンターコーヒーの存在意義の一つである「来店機会の創出」にはかなっている)。もっとも2018年は猛暑の影響からか、盛り返しを見せているが。
コーヒー飲料の項目はコンビニのカウンター提供によるコーヒーだけで構成されているわけでは無いので、一連の上昇がすべてコンビニのカウンターコーヒーによるものとは断言できない。しかしながら周辺環境の変化をも含めて想像すれば、多大な影響を与えていると考えるのが妥当ではある。
今後これらの値がどのような動きを示していくのか。特に大手コンビニではこれまで以上に、コーヒーとの相性のよい商品開発に熱を入れており、現時点では大手3社は少しずつベクトルに違いを見せながらも、カウンタードーナツの販売に並々ならぬリソースを割り振っている。引き続き注意深く見守りたいところだ。特に2017年以降は各社ともカウンターコーヒーの刷新を図っており、試行錯誤の中でどのような施策を打ち出していくのかが楽しみではある。
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※コーヒー飲料
家計調査では「液体のみ。濃縮液も含む。コーヒー牛乳は含まない」と定義されている。粉系コーヒー以外のものは、コンビニのカウンターでの販売品以外に自動販売機、駅、車内売りまで含まれる。
※※世帯購入頻度
世帯単位での該当期間の購入頻度。例えば特定の世帯において該当期間に誰かが2回コーヒー飲料を購入すれば、その世帯におけるコーヒー飲料の世帯購入頻度は200%(100世帯あたり200)になる。非購入世帯も含めての計算であることに注意。
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