新聞閲読率は減少続く、2015年では高齢者すら減る動き
10代の新聞閲読率は平日で4%
4マスの中で一番社会文化的に意義があるとの自負の声が大きいのが新聞。その新聞の閲読状況について、NHK放送文化研究所の「2015年国民生活時間調査」の報告書をもとに、実情と過去からの推移を探る。
今件における新聞閲読率=新聞行為者率は、該当日に15分以上新聞を読んだ人の割合を意味する。この新聞は自らが購入したものに限らず、一般紙の朝刊だけでなく夕刊、さらには業界関係紙、広報紙、そしてチラシや電子版までをも含む。紙媒体としての新聞は購読していないが、電子版を読んでいる人も、今件の新聞行為者に該当する。要は回答者が定義の説明を受けた上で新聞を読んでいると自認し、それを15分以上継続した人の割合である。
まずは直近となる2015年の新聞行為者の動向。年齢階層別・曜日別の実態と、平日の男女別は次の通りとなる。
曜日別では、男性の学生や就業者は平日は多忙で新聞を読み機会を得にくく、土日によく読むイメージがある。通勤・通学の際の時間つぶしのツールは、すでに新聞から携帯電話、特にスマートフォンにシフトしてしまっている。実データも大よそそのイメージ通りで、就業者は平日でやや低め、土曜に伸びる。ただし日曜は逆に少なめとなる。
かつては男性の場合、平日でも土日と同じ程度の行為率を示していた。恐らくは通勤・通学の過程で目を通していたものが回答率に反映されたのだろう。しかし、携帯電話、特にスマートフォンの普及に伴い、その立ち位置を奪われてしまった。
女性の場合は元々男性と比べて行為者率が低く、また男性よりもフルタイムでの就業ケースが少ないことから、平日の行為者率が高めの年齢階層が多い。
男女別では20代までは男性、30代以降60代までは女性の方が行為率は高い。自宅に居る時間帯に目を通しているのだろう。70歳以上になると男性も大よそ定年退職、さらには再就職者の割合も減るため、行為率は大きく跳ね上がる。
直近2015年は全年齢階層で大幅減
続いて経年変化。まずは男女年齢階層を問わず、全体の値の推移。
かつては通勤の友だった新聞の実情を表すように、平日の方が行為者率は高かった。それが2005年の時点では土曜が上となり、以降その状態が続いている。通勤時に欠かせない存在としての新聞のトップポジションは2005年辺りから揺らぎ始めたと見て良い。
他方、土曜が平日よりも上回るなどの順位変動はあれど、各曜日における行為者率の経年による減少ぶりにはあまり変化が無い。そして2010年から2015年にかけての減少度合いは、これまでとは異なり、より大きな割合での減少であることが分かる。スマートフォンの普及とインターネット上における情報配信の侵透はまさにこのタイミングで起きており、シェアを奪われた結果が数字となって表れている。
続いて年齢階層別の経年動向。
男性では50代までは一様に下げ基調で推移し、その傾向が2015年まで継続している。中堅層までの新聞離れは前世紀から起きていたことになる。60代以降は2010年まではほぼ横ばいで、70歳以上に限れば上昇する気配すら見せていたものの、2015年では共に大きく下落。他の年齢階層との間におけるギャップを狭める形となった。
他方女性は中堅層以降で「高齢ほど高行為率」が当てはまらず、むしろ50代や60代の方がよく新聞を読む傾向があったものの、2005年以降は50代が40代以下同様に下落基調に突入する形となる。60代と70歳以上は横ばいで高値を推移していたが、2015年では60代が大きく下げ、それより下の年齢階層同様に下落の動きを示している。ただし男性の高齢層ほど大きな下げでは無い。
今件行為者率は紙媒体だけでなく、電子版も含めた上での新聞を対象としていることに注意されたい。新聞離れは紙媒体離れとしてでは無く、新聞というまとまった形としてのメディアそのものが距離を置かれている、一つの裏付けに違いない。
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