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「タブレット機がほしい」その理由とは

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ タブレット機の魅力はどこに? タブレット機で調べてみよう

高機動性、PC代替、スマホより大画面…タブレット機の魅力

かつてはタブレット機といえばほぼイコールiPadを指し示しており、「ハイソでちょっと未来的な、そして少々お高いスマートフォンの大型版のデジタル端末」的なイメージがあった。ところがiPadも多種多様な機種の展開が成され、安価なAndroid OSの搭載機やアマゾンのKindle端末が相次ぎ発売され、タブレット機は一挙に汎用化、普及化の方向に突き進むこととなった。

ライフメディアのリサーチバンクが2014年1月に発表したタブレット機に関する調査結果によれば、現在タブレット機を所有していない人(81%)のうち、半数近くが「欲しい」と考えている。

↑ 今後、タブレット機を購入・利用したいか(現在持っていない人限定)
↑ 今後、タブレット機を購入・利用したいか(現在持っていない人限定)

その「欲しい」と思っている人達に、「なぜ欲しいと思うのか」、言い換えれば「どのような魅力からタブレット機を欲しいと思ったのか」を尋ねた結果が次のグラフ。これは「タブレット機において、非所有者に購入を意図させるだけの長所」と読み取れるポイントでもある。

↑ なぜタブレット機を購入・利用したいと思うのか(複数回答、タブレット機を購入予定、欲しいと思う人限定)
↑ なぜタブレット機を購入・利用したいと思うのか(複数回答、タブレット機を購入予定、欲しいと思う人限定)

最上位として挙げられた理由は「持ち運びに便利そう」で52.4%。機動力の高さ(デスクトップやノートPCと比較して)が高く評価されている。そして次いで多い意見は「PCで出来る事の多くが出来そう」で48.0%。

タブレット機は「パソコン」と「スマートフォン」の良い所取りをした立ち位置にあるハード。そのメリットとして挙げられている「機動力の高さ」「パソコンに近いことが出来る」が、タブレット機への魅力における上位陣として名前を連ねている。

第4位の「手軽にネットが出来る」も、「パソコン」に「ネットブック」(ノートパソコンよりもさらにシンプルなミニパソコン。インターネット接続や簡単なワープロ打ち用の端末として位置づけられ、数年前まで流行した)が含まれていることを考えれば、実質的にこの領域、つまり「パソコンみたいなことが高機動性を有したまま出来る」に含まれると考えて良い。

スマートフォンと比べ、より上位的な使い方が出来るのが良いとの意見も多い。「スマートフォンよりも画面が大きくて見やすい」などが挙げられる。他方、キンドルに代表されるような「電子書籍リーダー」としての使い道に該当する「電子書籍を利用したい」との回答は1割に留まっている。電子書籍とタブレット機の相性の良さはよく知られている話だが、未所有者における魅力としては映っていないようだ。

次の動画は昨年末に放映された、アマゾンのKindle Fire HDXのテレビCM(公式)。上位機種ではあるもののキンドルのCMにも関わらず、電子書籍周りの話は一切出て来ない。パソコン的、マルチメディア端末的な使い方が出来ることをアピールしており、少なくともKindle Fire HDXでは「電子書籍リーダーとしての使い方」は、未保有者に対する重要な訴求ポイントでは無いと判断されているのが分かる。

パソコンの子機的存在として?

現在タブレット機を欲しいと考えている人の多くは「パソコンよりも機動性が高くて似たようなことが出来るから」を理由としており、「スマートフォンよりも色々なことが出来るから」を理由にしている人は比較的に少ないように見える。つまり「パソコンの子機的、廉価代替機的な感覚」の端末として求めているようだ。

実際、タブレット機を保有したいと考えている人の多くが、たとえタブレット機を利用するようになっても、パソコンは引き続き必要であると考えている。「似たようなこと」ができるため簡易代替機としては使えうるが、主力機としては難しい。つまりピンチヒッターとしては活躍が期待できるものの、主力選手としては物足りない。パソコンが航空母艦でタブレット機が艦載機、パソコンが本店でタブレット機が専用トラックによる移動販売店のようなものだろうか。

↑ タブレット機を利用するようになった場合、普通のパソコンは必要だと思うか(択一、タブレット購入予定か、欲しいと思う人限定)
↑ タブレット機を利用するようになった場合、普通のパソコンは必要だと思うか(択一、タブレット購入予定か、欲しいと思う人限定)

タブレット機だからこそ新たにできること、タブレット機ならパソコン以上に便利に使えることも多い。しかしOSとソフトの関係もあり、引き続きパソコンの方が使いやすい事例も少なくないという次第である。

ただし今後、タブレット機がさらに高性能化し、オプションとしてのキーボードの普及も広まると、タブレット機と(ノート)パソコンとの境界線が今まで以上にあいまいになる(搭載OSがWindows8などのタブレット機ならなおさらだ)。そのような状況が進んでくると、タブレット機の魅力、所有したくなる理由が、さらに積み増しされることになるだろう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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