夫の家事参加率は年々上昇しているらしい
夫の家事参加率は増加傾向
兼業主婦の増加やパートでの就業時間の延長、結婚観の変化に伴い、夫の家事参加がこれまで以上に求められる時代。実態として夫の家事参加率はどの程度なのだろうか。国立社会保障・人口問題研究所における「全国家庭動向調査」の定点観測データから、その実態を探っていく。
次に示すのは、夫が週に1回から2回以上、家事(育児は含まれない)を行ったとする回答率を経年表記したもの。「週に1回から2回以上」なので、例えば土日のみ実行すれば該当するため、「平日は就業で忙しいから家事の手伝いはしない。しかし土日は積極的に家事をしてくれる」というパターンの場合、今件には該当する。なお空白部分はその当時、該当項目の調査は実施していなかったことを意味する。
高い技術が要求され、家事のサポート、代替をするつもりが余計に手間を増やすだけという悲劇になりかねない「炊事」は横ばいだが、それ以外の家事において、遂行率は上昇を続けている。つまり夫の家事参加が年々積極的になりつつある。
値が特に高いのは「ゴミ出し」「日常の買物」「食後の片づけ」「風呂洗い」などで、これらは時間がかかる、移動が必要になる、体力を要求されるものの、技術的なハードルは低い。夫が手掛けてもそれなりにこなしやすく、失敗によるリスクも低い。夫の家事参加としては適したテーマではある(「炊事」や「洗濯」とは対照的)。最近では洗濯機の性能の向上などを受けて、「洗濯」も高い値を示しつつある。
一方見方を変えると、週一から二回程度の「ゴミ出し」ですら、4割程度しか夫は手伝っていないことになる。まだまだ低いと評せざるを得ない。
世代、夫の帰宅時間別では?
夫の家事参加率はさまざまな条件で変化を示している。まずは妻の年齢別。間接的には夫の世代でもあると見ても良いだろう。
「部屋掃除」は例外的に世代間格差は無いが、それ以外の項目では「若年層ほど高い」「歳を経るほど低い」傾向にある。「高齢世代ほど夫は仕事が忙しく割ける時間が無い、または休日も疲れて家事をしたくない」「年上ほど夫は古い価値観にとらわれて家事を敬遠する」などが理由として考えられる。夫婦間の付き合い方、ライフスタイルそのものにおける世代間格差が生じているというところか。
「夫が忙しく、疲れてしまい、家事を敬遠する」は、次の「夫の帰宅時間別」の集計結果からも推測できる。
平日は仕事で時間が割けなくとも、土日に手掛ければ「週1-2回以上」のハードルはクリアできるはず。それでもなお帰宅時間が遅いほど、夫は家事手伝いをしなくなる。土日も残業や仕事上の付き合いがあるのか、疲労で休んでいるのかは今件調査項目だけでは確認できないが、仕事の忙しさが家事手伝い率と大きな相互関係にあることは容易に想像できる。唯一「ゴミ出し」は帰宅時間が遅いほど、手伝い率は高い。あるいは早朝も早く出かけるのでゴミを出しやすいからだろう。
単純作業に近く、技術をあまり要しない家事ならば、夫でも容易に手掛けることは可能。あとはいかに時間を抽出できるかと、やる気にかかっている。ちょっとした配慮、分担でも、妻には大いに役立つはず。
「ゴミ出し」ですら6割以上の夫が不参加な現状は、やはり妻には「もうちょっと、手伝ってくれないかな?」と愚痴をこぼさざるを得ない状況には違いない。
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