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“豚骨ラーメンとクラフトビール”をズバッ&グビッ。これ結構合うっちゃない!「ラーメン海鳴 天神店」

上村敏行ラーメンライター
「ラーメン海鳴 天神店」の「味噌魚介とんこつラーメン」と「クラフトビール」

福岡市・天神、新天町に「ラーメン海鳴(うなり) 天神店」ができて半年がたつ。“魚介とんこつ”や“ラーメンジェノバ”etc.。1号店が2009年、福岡市・清川に創業して以来、革新的なメニューで福岡内外のラーメンファンを魅了してきた「海鳴」。現在、福岡全7店をもっているが、最新の「天神店」は他店舗とはまた趣向の異なる仕掛けがある。

外観も内観もシャレている
外観も内観もシャレている

天神ビッグバンで大型ビルの建設ラッシュ中の天神のど真ん中。新天町商店街のアーケードへと続く小路に「ラーメン海鳴 天神店」ができたのは2023年11月。1階に7席、2階にも11席を備え、青とオレンジの“海鳴カラー”で統一。細部までスタイリッシュに作り込まれている。特別な「海鳴」だ。

店主の大久保茂雄さんは1977年福岡市出身。20代前半にアルバイトからラーメンのキャリアがスタートし、「ラーメン凪」や「博多元助」などでの修業を経て、2009年自身の店を福岡市・清川に開業した。ちなみに、屋号の「海鳴」は「凪」の生田悟志さんが名付け親である。「海鳴」のメニューは福岡のラーメンファンの度肝を抜いた。当時、福岡で認知され始めたつけ麺ではなく、ラーメンとしての“とんこつ魚介”はとても稀有な存在。ジェノベーゼソースと淡いグリーンのビジュアル“ラーメンジェノバ”も、他ジャンルとラーメンのコラボの好例であり、博多っ子の心をガッツリと掴んだ。

「ラーメン海鳴」の店主・大久保茂雄さん。彼の活躍を15年間見てきた
「ラーメン海鳴」の店主・大久保茂雄さん。彼の活躍を15年間見てきた

「僕が目指した“とんこつ魚介”は、旨味が幾重にも広がる“重層型”のラーメン。ひと口目はウルメ節などの香りと旨味、続いてボディとなる動物系スープの重厚感。最後は煮干しのヒキ(余韻)。煮干しは水出ししたものと、煮込んだもので、より奥行きのある味わいを表現しているんです」と大久保さん。「凪」での修業時代、“365日日替わりラーメン”で自身のラーメン観が広がり、独創性が磨かれたという大久保さん。濃厚豚骨の中で魚介要素が絶妙に主張する“とんこつ魚介”と同じように、“ラーメンジェノバ”に関しても、肉系スープとジェノベーゼソースのバランスがとにかく見事なのだ。ソースはバジルやパルメザンチーズなどを使い、各店でミキシングする“フレッシュさ”にもこだわっている。

淡いグリーンのビジュアル「ラーメンジェノバ」とサイドメニューの「明太とろろごはん」
淡いグリーンのビジュアル「ラーメンジェノバ」とサイドメニューの「明太とろろごはん」

「天神店」限定の「味噌魚介とんこつ」、クラフトビールに注目

「日の目を見なかったものも含めて、300くらいのラーメンのレシピは頭の中にありますかね」と驚きの数字を話す大久保さんであるが、最新の「天神店」では、中でも自信作であるという「味噌魚介とんこつラーメン」を、ココだけの限定麺として掲げた。

「味噌魚介とんこつラーメン」。数々の創作麺を編み出してきた大久保さんが特に胸を張る傑作
「味噌魚介とんこつラーメン」。数々の創作麺を編み出してきた大久保さんが特に胸を張る傑作

味噌は糸島・北伊醤油の赤味噌と田舎味噌をブレンド。焦がしを入れた後に熟成させた味噌ダネをスープに溶かし込む。甘く濃厚なパンチの中でも感じる魚介の繊細な旨味。白ネギやコーンのシャキシャキシャコシャコした食感もいいアクセントに。名作である。

力強い自家製の中太麺
力強い自家製の中太麺

麺は博多駅南「海鳴食堂」の製麺室で作る自家製。濃厚な味噌スープに負けないコシ、しっかりとした太さがありボリューミー。また、「味噌魚介とんこつラーメン」の他に「天神店」で新たに提案していること、それは。

「天神店」をまかされた店長の辻恭介さん
「天神店」をまかされた店長の辻恭介さん

ずばり“クラフトビール&ラーメン”。確かに、芳醇でふくよかな味のクラフトビールと、濃厚ラーメンのペアリングは合う。ラーメンをズバッと啜って、クラフトビールをグビッ。新しい楽しみ方かもしれない。

ラーメンとクラフトビールの組み合わせが最高である
ラーメンとクラフトビールの組み合わせが最高である

「天神店は『海鳴』のアンテナショップ的な立ち位置。これからもいいものは積極的に取り入れていきたいですね」と大久保さん。

豚骨ラーメンアイランド、九州で勝ち抜き、全国でも存在感を示してきた実績は申し分ない。何より郷土愛、豚骨愛を胸に、大久保さんはこれから世界市場へ挑んでいく。

【ラーメン海鳴(うなり) 天神店】
住所:福岡市中央区天神2-7-22 左衛門ビル1・2F
電話:092-725-8611
時間:11:00〜翌2:00(LO1:50)
休み:なし
席数:1F7席、2F11席

ラーメンライター

1976年鹿児島市生まれ。株式会社J.9代表取締役。2002年、福岡でライター業を開始。同年九州ウォーカーでの連載「バリうまっ!九州ラーメン最強列伝」を機にラーメンライターとして活躍。各媒体で数々のラーメンページを担当し、これまで1万杯以上完食。取材したラーメン店は3000軒を超える。ラーメン界の店主たちとも親交が深く、ラーメンウォーカー九州百麺人、久留米とんこつラーメン発祥80周年祭広報、福岡ラーメンショー広報、ソフトバンクホークスラーメン祭はじめ食イベント監修、NEXCO西日本グルメコンテストなど審査員も務めてきた。その活躍はイギリス・ガーディアン紙、ドイツのテレビZDFでも紹介

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