法定通貨(ほうていつうか)とは何なのか、仮想通貨やポイントとは何が違うのか。円の仕組みを調べてみた
日本の通貨は何でしょうか。もちろんそれは「円」です。日本国中、どこでも利用できる日本のお金ですが、これはそもそもどういった仕組みの上になりたっているのでしょう。
たとえばクルマはハンドルやアクセル、ブレーキの動かし方を知っていれば乗ることができます。しかし、実際にはエンジンを掛けると何が動いて、その結果、クルマが走るようになるのか。細かい仕組みを知っている人は、クルマを作っている人、整備している人以外では、あまり詳しいことは知らない人の方が多いはずです。
これはお金の仕組みについても言えます。どうして円は、どこでも安心して使えるのか。実はこれも国のなかの大きな仕組み、いわゆるインフラと呼ばれるものが存在しています。今回は「お金」の仕組みを知る上で、まず「法定通貨」について調べてみましょう。
法定通貨とは、国家によって強制通用力が認められている通貨のことを指します。国が法律によって、その通貨を強制的に通用できることを認めているのです。
日本の通貨は二通りあります。ひとつが紙幣です。日銀券とも呼ばれるように日銀が発行しています。
日銀法の第四十六条に「日本銀行は、銀行券を発行する」とあり、その第二項に「前項の規定により日本銀行が発行する銀行券(以下「日本銀行券」という。)は、法貨として無制限に通用する。」とうあります。このように日本円の紙幣は日銀法によって、法貨として無制限に通用すると定められています。
補助貨幣的な性格を有する硬貨については政府(財務省)が発行しています。
「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」の第七条に「貨幣は、額面価格の二十倍までを限り、法貨として通用する」と定められています。額面価格の20 倍までというのは、例えば100円硬貨を一度に使う際には、20枚までとなっているのです。それまでであれば、法貨として通用するわけです。
現在発行が停止されほとんど流通していない日本銀行券、硬貨(記念貨幣を含む)も、特に無効とされたものを除いて、法的効力は現在一般に流通しているものと全く等しくなっています。つまり今でも使えます。
円単位のものであれば、明治時代に発行された1円札も1円として使えることになります。天皇陛下御即位記念10万円金貨も10万円で使えます。
ただし、明治時代に発行された1円札は歴史的価値、天皇陛下御即位記念10万円金貨は金の価値が存在しているため、特に10万円金貨は額面を上回る価値があり、額面単位で使うのはもったいないです。
それでは法定通貨と仮想通貨(暗号資産)とは何が違うのでしょうか。
それはビットコインなどの仮想通貨は日本などでは、法律によって強制通用力が認められているものではないことがあげられます。
これはいわゆる地域通貨なども同様です。また、いわゆるポイントなども同様です。発行元が破綻した際のポイントの扱いについて、債権と認めるかどうかなどの具体的なルールは存在しないため、実際には倒産と同時にポイントが失効するケースも多いようです。
だからポイントや地域通貨が危ないというわけではないですが、そういったリスクが法定通貨と違って存在することも知っておく必要があります。
また、ビットコインについては、エクアドルが法定通貨にしたことで、法律で定めれば、仮想通貨も法定通貨となったケースが出てきました。しかし、それによって現在、エクアドルが窮地を迎えていることもたしかであり、この動きが拡がることはないと考えられます。