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結婚相手を「金で選ぶ女、年で選ぶ男」が嵌る、当たりのないガチャ地獄

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:アフロ)

前回までの記事で、「絶対人口的には男余りなのに、婚活の現場では女余りになる」という不可思議な逆転現象のカラクリをお話した。まだ、記事をお読みでない方はぜひ先に以下の記事をご覧ください。

男余りなのに、婚活現場に「男がいない」のはなぜ?【前編】

男余りなのに、婚活現場に「男がいない」のはなぜ?【後編・都道府県編】

女の上方婚・男の下方婚志向

さて、今回は、そうした物理的なアンマッチの状況に加え、未婚男女で相手に求める条件の食い違いが、さらなるマッチング不全状態を招いている現実についてお話ししたい。

婚活系の記事で「女の上方婚、男の下方婚」という言葉が出てくる。これは、女性は、自分より学歴や年齢、収入や身長などが高い男性を結婚相手として選びたがり、男性はその逆だという意味である。

記事によって、「上方婚・下方婚」という単語を「上昇婚・下降婚」という言い方をしている場合があるが、私はあえてその言い方は適切ではないと考えるので使用しない。

もともと「上昇婚」とは自分よりも高い身分や階級または社会的地位の配偶者と結婚する行為を表すために使用されたもので、俗にいう「玉の輿」である。身分制度があった時代や今でも階級制の残る国や地域ならいざしらず、日本においてそれを使用する意味はないからである。

写真:アフロ

現代における「上方婚」とは、そういう意味はなく、いろいろ条件はあったにしろ、結局主に相手の経済力に収束される場合が多い。仮に収入の高い相手とめでたく結婚できたからといって、それで自らの身分や地位が上昇するわけではないし、逆の場合も下降するわけでない。生活レベルが劇的に変化するほどのマッチングがあるとも思えない。単に、自分より「上の方を志向する」というものであり、「上方婚・下方婚」という呼び方が適していると考えるからである。

ちなみに「上方婚」とは「じょうほうこん」と読む。決して「かみがたこん」ではない。

結婚相手に求める男女の条件の違い

その上で、結婚したい男女の相手への希望条件をデータからひもとくと、長期の経年推移を追っているものとして、5年おきに調査している社人研「出生動向基本調査(対象18-34歳未婚男女)」がある。

調査結果原票には男女それぞれの割合が出ているのだが、それをただ見比べてもあまり意味はない。結婚を望む男女において、その差分こそが重要だからである。差分で比較すれば、男女でそれぞれどの条件を重視しているかがわかる。

独自に差分(男の割合を女の割合で割ったものから1をひいた男女比。マイナス表示は「女の方が多い」ということになる)計算をして作成したグラフが以下である。

どうだろう。一目瞭然。男女で結婚相手選定で重視するポイントの違いが鮮明になった。

全体的に条件が多いのが女性であるが、もっとも男女の差分が大きいのが「経済力」である。まさに女性の「経済上方婚」志向を表しているといえる。次にくるのが「職業」「学歴」であるが、これらは基本的に収入に直結する因子だからだろう。

対して、男性側は「容姿」だけが抜きんでている。身も蓋もない言い方をすれば「女は金で男を選び、男は顔で女を選ぶ」という志向が国の基幹調査で明らかになったということだろう。

注意していただきたいのはこれはあくまで男女の差分なので、ゼロに近ければ近いほど男女間の差がないということであり、絶対値を示すものではない。絶対値でいえば、男女とも「人柄」がトップになる。

別の調査結果から見る結婚相手に希望する条件

この出生動向基本調査は1980年代からの推移も見れて大変貴重で重要な資料なのだが、この調査項目の選択肢に「年齢」がないことだけが個人的には不満である。結婚に当たって、相手の年齢も重要なポイントだと思うからだ。

2019年内閣府が実施した「少子化対策に関する調査」ではその「年齢」が選択肢にある。調査年も4年の違いがあるし、こちらの対象は20-49歳までの未婚男女となるが、参考までにそちらもあわせて比較してみた。

女性の方は、出生動向基本調査同様、「経済力」がトップであることに変わりはない。男性も「容姿」が抜きんでてはいるが、その「容姿」を上回り、差分トップになるのは「年齢」である。「年齢」という選択肢があれば、これがトップになるのである。

まとめれば、「女は金で男を選び、男は年で女を選ぶ」ということになろうか。これが女性の経済上方婚志向・男性の年齢下方婚志向といわれる所以でもある。

女性の経済上方婚に関しては、結婚は経済生活であり、相手の収入を気にするのも分別のあるひとつの判断だろう。しかし、そうした希望の相手とマッチングするどころか、特に婚活市場においては宝くじ当選並みに遭遇しないというのも現実ではないだろうか。婚活女子が「適当な相手になかなか巡り会えない」と嘆くのが何よりの証拠だ。

それは、若い女性にこだわり続ける年齢下方婚志向の中年男性にも言えることで、こっちの地獄についてはいずれ記事化したい。

巡り会えないのではなく、そもそも存在しないのだ。当たりのないガチャを延々と回し続けるようなものである。

なぜなら、金のある(金を将来稼げるだろう職業)の男性や、若くて容姿端麗な女性で、なおかつ人柄のいい未婚男女は、婚活などせずともとっくに売約済みだからである。

晩婚化といわれているが、2019年の人口動態調査によれば、初婚者の中央値年齢は男女とも20代後半(男性29.8歳、女性28.6歳)である。初婚する人の半分以上は20代で結婚している。

上方婚だ、下方婚だと余計な分別をあれこれ考える以前に結婚する人は結婚しているのだ。

結婚なんてのは若いうちにしなきゃダメなの。物事の分別がついたらできないんだから。

樹木希林さんが残した名言である。真理を突いていると思われる。

関連記事…結婚したくても、340万人もの未婚男性には相手がいない「男余り現象」の残酷

※記事内のグラフの無断転載は固くお断りします。

独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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