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2021年度の国債発行計画

久保田博幸金融アナリスト
(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 12月21日に2021年度予算が閣議決定され、それとともに2021年度の国債発行計画も発表された。

 来年度の予算案は、社会保障費の増加や新型コロナウイルスへの対応などで一般会計の総額で106兆6097億円と、今年度の当初予算を4兆円近く上回り、過去最大となった。

 歳入をみると税収は今年度の当初予算より6兆円余り少ない57兆4480億円、新規国債の発行額は11兆円余り多い43兆5970億円となった。歳入全体のうち国債で賄う割合(国債依存度)は40.9%となり(今年度当初は31.7%)、当初予算としては7年ぶりに40%を超えた。

 新規国債43兆5970億円の内訳は、建設国債が6兆3410億円、特例国債(赤字国債)が37兆2560億円となる。今年度当初に比べて建設国債は7690億円減となるが、特例国債は11兆8098億円増となる。

 復興債の発行は2183億円(今年度当初比7058億円減)、財投債が45兆円(同33兆円増)、借換債は147兆1929億円(同39兆2111億円増)となる。これによりトータルの国債発行総額は236兆82億円となり、今年度当初の153兆4621億円からは82兆5461億円の増額となった。

 国債の発行総額をみると今年度の三次補正後が263兆655億円に対し、来年度は236兆82億円と減ってはいるものの、今年度当初の153兆4621億円と比較して、来年度はかなり大きな数字であることは確かである。

 個人向け販売分は4兆1000億円(今年度当初比7000億円減)、公的部門(日銀乗換)が2兆2000億円(同変わらず)となり、この分を差し引くと国債の市中発行分は229兆7082億円(同83兆2461億円増)となる。さらに第2非価格競争入札等分の8兆2300億円(同2416億円増)、前倒し発行などによる年度間調整分が782億円(同9兆5955億円減)あり、カレンダーベースでの市中発行額は221兆4000億円と今年度当初の128兆8000億円に比べて、92兆6000億円増となる。

 カレンダーベースでの市中発行額は40年債が3.6兆円(6000億円が6回)、30年債(9000億円12回)、20年債(1.2兆円12回)、10年債(2.6兆円12回)、5年債(2.5兆円12回)、2年債(3兆円12回)となり、今年度の当初と比べると大きくなっているが、第三次補正後の発行ペースに比べて利付き国債では40年債の発行額が一回あたり1000億円増となっていただけとなる。

 割引短期国債はトータルで83.2兆円。流動性供給入札が11兆4000億円。

 カレンダーベースの平均償還年限は6年10か月程度となる。今年度の当初の9年2か月に比較するとかなり短くなっている。また来年度の前倒債の発行限度額は20兆円となり、今年度の43兆円から減額された。

 カレンダーベースでの市中発行額については、ほぼ予想通りであり、この発表を受けての市場への影響はほとんどなかった。それでも年間の国債発行額はかなり大きくなっていることは確かである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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