新成人が考える「カーライフするのなら出せるのはこの金額まで」の実情をさぐる(2019年版)
自動車を所有し利用するにはさまざまな費用が必要になる。購入時の自動車本体代、保険料、駐車場代、各種整備費用、ガソリン代、そして車検代。車が生活の上で必要不可欠な人も少なくないが、それゆえにコストの存在に頭を痛めている人も多い。このコストについて新成人ならば、どこまで許容できると考えているのだろうか。ソニー損害保険が2019年1月に発表した調査報告書「2019年 新成人のカーライフ意識調査」(※)から実情を確認する。
行動範囲を広げ、生活に機動力を与えてくれる自動車だが、その対価としてさまざまな経費が求められる。定期的に発生する費用に関して、いくらぐらいまでなら我慢できると新成人たちは思っているのだろうか。見方を変えれば「この額を超えるとカーライフはあきらめざるを得ない」と読むこともできる。
最大回答区分は5001~10000円で25.2%、回答値を落として1~5000円が24.3%、そこから大きく落ちて10001~20000円が続く。1円も出せない、つまり実質的にカーライフは過ごしたくない、過ごさなくてもよいとする人も11.1%いる。必要性を感じない生活環境にあるか、あるいは同居世帯、例えば親世帯にすべて任せるとの考えなのかもしれない。
中には5万円超過でも大丈夫の人も少数ながら確認できるが、全体平均は1万6894円となっている。よくある例え話で持ち上がるたばこ価格で換算すると、おおよそ35箱分である(メビウス、480円で計算)。1日1.2箱近く。
この平均額について免許証や車そのものの所有状況別で経年推移を確認したのが次のグラフ。2019年分は各属性別の値が非公開なので空欄となっている。
対価として支払える上限を聞いていることから、この値が高い方が「車がある生活」に高い価値を見出していることになる。属性別の値が公開されている直近分となる2018年分を見ると、車を所有している人は当然高く、持っていない人はそれより低いものの、免許証を持っている・取得予定の人はそれなりに高い値が出ている。他方、免許を持たず取る必要も無いと考えている人は、一段と低い値に留まっている。当然の結果といえよう。
経年変化で見ると多少のぶれはあるものの、車は持っていないが免許を持っている・持つ予定がある人はおおよそ横ばいだが、車所有者は値が減少する傾向にある。お財布事情が厳しくなり、車利用に割り当てる対価も減らした上で勘案しなければならなくなったと読み解くことができよう。
果たして自動車関連企業は現在の新成人に対し、毎月2万円近くの出費に値する価値を提供し得る自動車や各種サービスを提案できているだろうか。自動車そのものだけで無く、利用者が日々生活する周辺環境全体を見つめ直し、考える必要があるに違いない。
■関連記事:
80歳以上でも約4割は運転免許を所有、2割近くは毎日運転している実情
免許はあるけど自動車持っていない人、その理由は「維持費がかかる」「公共交通機関で十分」
※2019年 新成人のカーライフ意識調査
2018年11月16日から11月20日にかけて2019年の新成人男女に対しインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000件。男女比は1対1。調査実施機関はネットエイジア。なお今件調査における「都市部」とは、市・区における人口ランキングの上位都市(1位から8位)である、北海道札幌市、東京都23区、神奈川県横浜市、愛知県名古屋市、京都府京都市、大阪府大阪市、兵庫県神戸市、福岡県福岡市。それ以外はすべて「地方」。過去の調査もほぼ同条件で実施されている。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。