中村教授のノーベル賞受賞で、誰が日亜化学工業を悪者にしたいのか?
青色発光ダイオードの開発でノーベル賞を受賞した中村修二教授がマスコミを通して、以前に、その発明、開発の対価に関して係争した、かつての勤務先である日亜化学工業に対して、和解を申し入れました。日亜化学工業も即座に対応し、読売新聞によれば、
と回答しました。マスコミ各社では上記の新聞と同じような論調で、「日亜化学が中村教授を拒否」という印象を与えています。どうも、かつて係争した中村教授と日亜化学の対立を思い返し、「中村教授vs.日亜化学」という構図を作りたいようです。確かに「善と悪」、「強者と弱者」、「賢者と愚者」という二極の対立構図はわかり易く、興味を抱く、あるいはさらに面白おかしく思う人は多くなるでしょう。しかし経緯から言えば、中村教授が、理由や事実関係は別にして、勤務先の待遇に不満を持ち、一方的に日亜化学を訴えた事は事実です。今回、ノーベル賞を受賞したからと言って、一方的にマスコミを通じて、日亜化学社長との面談を求めたとしても、安易に応じる事はできないでしょう。今回、日亜化学が回答した「弊社歴代社長と弊社に対する深い感謝を公の場で述べた」という下りは、中村教授が係争時の前後に認めなかった、少なくとも日亜化学としては認めてほしかったことでしょう。ノーベル賞を受賞したからといって、日亜化学側としては一方的に訴えられた、退職した元社員と会う必要はないという判断は正当なものでしょう。
ということですが、日亜化学は四国最大の企業でもありませんし、徳島で10メートル歩こうが100メートル歩こうが、日亜化学の直接的関係者に会う事はないでしょう。何よりも現在では日亜化学および関係者が中村教授と仲違いをしているという意識はないはずです。改めて、徳島に来て頂いて、あの頃とは変わった中村教授のお話を、日亜化学関係者、徳島大学関係者、さらに徳島県民にして頂ければと思います。