新型FFM(護衛艦)の主契約企業は三菱重工に決定
8月25日、防衛省・防衛装備庁より令和6年度計画(2024年度)より始まる新たな海上自衛隊向け護衛艦「新型FFM(機雷掃討・機雷敷設も行える多機能な護衛艦)」の契約企業が発表されました。主契約者は三菱重工、下請負者はジャパンマリンユナイテッドです。
なお現行FFMとは「もがみ型護衛艦」を指します。2019年から建造開始されている現行FFMは12隻の建造をもって終了予定で、改良し大型化された新型FFMの建造へと移行します。なお現行FFMの「もがみ型護衛艦」の主契約者は三菱重工、下請負者は三井造船(現在は三菱重工に買収)でした。
新型FFM(護衛艦)に係る調達の相手方の決定について:防衛省
新型FFM ※()内は現行FFM
- 基準排水量 約4880トン (3900トン)
- 全長 約142m (133m)
- 最大幅 約17m (16m)
- 最大速力 30ノット以上 (同じ)
- 機関型式 CODAG (形式は同じ)
CODAG:ディーゼル主機(DE)とガスタービン主機(GT)の混載型式。燃費の良いディーゼルで巡航し、高速航行時にガスタービンを併用する。
新型FFMは現行FFMと基本構成は同じで船体が大型化しています。三菱重工の提案では細部の構造も変化しており、改良されている様子が分かります。外観の大きな変更箇所で重要そうなのは以下の部分です。
- レーダーの取り付け角度が45度変更(左右方向)
- 艦橋の窓の周囲に人が出られる通路?らしき構造を設置(ワッチ用?)
現行FFM(計画時の資料、2017年年8月9日公開)
新型FFMと現行FFM:レーダーとブリッジの違い
FFMのレーダーはフェイズドアレイ方式のパネルを4面に設置する方式ですが、新型FFMでは取り付け角度が左右方向で45度変更されています。また各面のパネルが1枚増えていますが、どのような機能なのかは未発表です。推定ですがおそらくは艦対空ミサイル誘導用レーダーでしょう。(あるいは低空監警戒用レーダーなどの可能性もあります。)
艦橋の窓の周囲の構造については乗組員が外部を直接視認して確認するワッチ用であるかもしれません。ステルス形状の徹底とは逆行しますが、出入港などでは直接視認できないと不便なので見えやすい場所を確保したかった可能性があります。ただし提案なのでこの図の通りに完成するとは限りません。(あるいは海賊の銃撃対策の装甲板の表現である可能性もあります。)
なお三菱重工の提案概要の図では、現行FFMと新型FFMで船体のビルジキールとフィン・スタビライザーの部分で差異があるように見えますが、実は現行FFMの図では描くのを端折られているだけで、実物の現行FFMには装着されており(建造中の様子から確認)、この部分の構造は現行FFMと新型FFMはおそらく同様です。
ビルジキールおよびフィン・スタビライザー
平行に長いものがビルジキール(固定式)で、その後方がフィン・スタビライザー(可動式)です。どちらも船体の揺れを低減する減揺装置です。