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【宮城県 東松島市】森のトンネル奥に隠れ文化財!樹齢約700年の神秘的な天然記念物 [宮戸地区] 

Molly Chibaフリーランスライター(東松島市・松島町)

宮城県東松島市の宮戸地区は、美しい海と山に囲まれた日本の中でも有数の景勝地だ。そのことから地区内には、いくつかの文化財や天然記念物も存在するのだが、自然の多い土地柄ということもあり、それらは例えば山の奥地にある場合が多い。
今回はその隠れた文化財の中でも、市の天然記念物に指定されている樹齢約700年の「むろの木」と、その場所までの道順を写真と共にご紹介していこう!

「むろの木」がある場所は、宮戸地区の中でもずっと下の方に位置する「大浜海岸(おおはま かいがん)」が最寄りの目印となる。実物の木が生えている場所までは、海岸そばの入口からやや小高い山道を登っていくため、訪れる際には必ず水分補給用の飲み物と帽子、歩きやすい靴そして夏場は虫対策と蛇などには十分に注意して挑もう!また、山道なので出来る限り1人ではなく、誰かと一緒に複数人で登ることをおすすめする(事故や怪我などのないように安全に楽しもう)。

そして、大浜海岸の堤防からちょっと山側に「小さな瓦屋根付きの建物」があるのだが、そこがトイレなので出発前に済ませておくことをおすすめする(※山の中に自動販売機やトイレは無し)。また、駐車場がまだ明確に完備されていないので(2023年8月時点)、車利用の場合は大浜海岸の堤防付近、またはトイレ周辺など周囲の邪魔にならない場所に駐車しよう。

先ほどの瓦屋根のトイレを背にして、大浜海岸方向へ進むと「嵯峨渓遊歩道(さがけい ゆうほどう)と書かれた小さな看板が見えてくる。その看板の進路に従って、左へと進んでいこう。

すると右手に大浜海岸そして正面には山が見えるという状態となるのだが、そのまま真っ直ぐ山に向かって行き、突き当たりを左へ進もう。

左へと曲がったあとに山沿いに少し進むと、間も無くして右側に「嵯峨渓遊歩道 入口」の赤い看板が見えてくる。この場所だが、本当に目立たないので看板を見落とさないように注意深くチェックしておこう。そして入口自体の存在も周辺の木々に覆われていて、とても小さく見えずらいのだ。だが、かろうじて舗装された細道がスッと中へ向かって伸びているので、それが見つけるポイントだ!

入口を遠目で見ると、かなり勇気が必要な雰囲気が漂っているのだが、近づいていくとしっかりと舗装された幅広な道があるので、安心して欲しい。

中へと入ると入口の雰囲気とはガラッと変わり、明るく開放感のある道なのだ!これがまず素敵な大発見の一つ。

足元はコンクリートでしっかりと固められていて、ただ落ち葉も多く雨の後などは滑りやすいため、注意しながら歩き進めよう。撮影当日は雨模様だったため、筆者は安全のために独自のカニ歩きで進んだが、かなり怪しげな動きだったに違いない。

入口から約2、3分ほど歩いた時点で、平坦だった道が急勾配に変わってくるので注意しよう。その角度は結構なもので、後ろを振り返って歩いてきた道を見てみると、身体が下へと落ちて行きそうになるほどなのだ。そのため、足を滑らせないようになるべく山肌側を歩くようにしよう。

入口から大体7、8分程度で急勾配の舗装された道から、平坦な土の道へと変わり同時に森の中にぽっかりと広がる不思議な空間に到着。

その空間は周辺地域の避難場所にもなっていて、やわらかな太陽の光がサーっと森の中に差し込み、とても神秘的な雰囲気が広がっている場所なのだ。

そして、その場からすぐ真上を見上げると、そこには約700年間この地で生き続けている精霊のような「むろの木」の姿!撮影時は雨だったため空には雲が多くあったのだが、それでもほのかな太陽の光を受けて、より不思議でどこか優しい雰囲気が辺りに漂っていた。これがもし晴天であればまた違った「むろの木」の姿が見られたのかもしれない。そして、ところどころ補修されているのもまた、味があり風格を感じるポイントだ。

むろの木のちょうど下に解説版が建てられているので、是非訪れた際にチェックしてみて欲しい。ここではその中から一部をご紹介。現在のこの「むろの木」は、元々1335年に後醍醐天皇の子供である「護良親王(もりよし しんのう)」が、筆として使用していた「むろの木の枝」が始まりとされている。護良親王がその枝を土にさしたところ、なんと根付いて現在(約700年)までに至るということなのだ。そして、これは「お筆むろ伝説」と呼ばれているそうだ。筆に使用していたということは、墨汁が木の生育に影響を及ぼしていたのか?それとも何か見えない力があったのだろうか・・!

今回は、宮城県東松島市の宮戸地区にある天然記念物「むろの木」をご紹介してきた。入口の雰囲気はちょっぴり勇気がいるが、歩いて大体7、8分で「むろの木」の場所まで辿り着ける気軽さはとても魅力的だ。一方で、道中の急勾配だけは注意して歩こう!自然の神秘的な世界を体感したい方には、是非おすすめしたい場所だ。
さあ、季節ごとに違った姿を見せてくれるであろう「むろの木」をみんなで見にいこう!

名称:むろの木
住所:宮城県東松島市宮戸字大室54-1

フリーランスライター(東松島市・松島町)

日本出身/日本と英国を拠点に活動。自然と動物が大好きな人間です。国内地域ニュース、日英サッカーコラム、サステナブル・ツーリズムに関する記事を執筆中。

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