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清武弘嗣が共存したのは香川真司だけじゃない。楽しみになった柏木陽介との関係性

神谷正明ライター/編集者
(写真:田村翔/アフロスポーツ)

香川との共存に隠れていたもう一つのホットライン

6月3日のブルガリア戦で7ー2と歴史的な大勝を収めたハリルジャパン。これまで勝ったことがなかったブルガリア相手に大量得点を取っただけでなく、見事な連携から生まれたゴールが多かったことも大きな自信になったはずだ。

そのブルガリア戦で大きな注目を集めたのが、ザックジャパン時代から日本代表の大黒柱を担う香川真司と、そのバックアッパー的存在だった清武弘嗣の共存だった。

清武は2011年8月10日、札幌ドームで行われた韓国戦でA代表デビューを飾った。その当時に清武のことをあまり知らなかった内田篤人が「どんな選手なの?」と本人に尋ねたところ、清武が「真司くんみたいな感じです」と答えたように、本人も認めるくらい香川とはタイプが似ている。

清武はブルガリア戦後にも「お互いトップ下の選手なので、真司くんとはすごく考え方が似ていますし、同じ意識でやっています」と共通点が多いことを口にしている。ブルガリア戦では「同じ意識」を持つ2人が呼吸の合った連携で局面を動かすシーンを作った。トップ下の香川と、左サイドの清武。2人の共存は期待感を高めた。

清武と柏木の化学反応に期待

しかし、清武が相性の良さを見せたのは香川だけではない。左ボランチとしてスタメン出場した柏木陽介とも息の合ったプレーを何度も見せていたのだ。

それは得点場面にも表れている。

53分、吉田麻也がゴールを決めたシーン。清武が金崎夢生とのワンツーで抜けだしてクロスでアシストしたが、そのシーンの前に清武にパスを打ち込んだのは柏木陽介だった。

その4分後の宇佐美貴史の得点場面も、清武が右サイドの酒井宏樹に展開したことからチャンスが生まれたが、その直前には柏木がノールックパスでバイタルエリアの清武にボールをつないでいた。

もちろん、得点場面だけでなく、それ以外の局面でも柏木と清武の連携はチームにリズムをもたらしていた。清武本人もそれには大きな手応えを感じていたことが試合後のコメントからうかがえる。

「真司くんと陽介くんが近くにいてくれるので、でかい相手には効果的だった」

「陽介くんとかハセさんが持ったら僕が中に入って、そこで佑都くんがいい形でオーバーラップできるということは試合前から考えていたし、そういうシーンが何回かあった」

「宇佐美のゴールは、陽介君が僕に入れてくれて前を向けて、あそこで前を向けたのがよかった」

左サイドで清武、柏木とトライアングルを形成した長友佑都も「彼らは技術もあって周りが見えてるから、すごいいい距離感とコンビネーションでいい形をたくさん作れた、あれをどんどん続けていきたい」と好感触を得ていた。

香川と清武の共存。それはとても魅力的であり、ブルガリア戦では実際に好影響もあったが、注目ポイントとしてキャッチーな側面もあった。実際には他の部分にも評価できるポイントはあった。

ハリルホジッチ監督は7日に行われるボスニア戦に、ブルガリア戦で右脇腹を痛めた香川を起用しない考えだ。おそらくトップ下には清武が起用されるだろう。柏木陽介がボスニア戦でもスタメン出場するかどうかわからないが、もし使われたら、今度はどういった反応が起こるのか注目するのもおもしろそうだ。

ライター/編集者

大学卒業後、フリーライターとして活動しながらIT会社でスポーツメディアに関わり、2006年にワールドカップに行くため完全フリーランスに。浦和レッズ、日本代表を中心にサッカーを取材。2016年に知人と会社設立。現在は大手スポーツページの編集業務も担い、野球、テニスなどさまざまなスポーツへの関与が増えている。

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