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男性必見。髪が心配なら砂糖入り飲料は避けよう。一千人解析で明らかになった意外な事実【最新医学論文】。

黒澤恵(Kei Kurosawa)医学情報レポーター

40代男性の30%が悩んでいます

男性ならば誰でも気になっているのが、頭の毛髪ではないでしょうか?日本皮膚科学会のガイドラインによれば、20代男性の10%、30代なら20%、40代になると30%、そして50代では40%以上が「薄毛」に悩んでいるそうです(医学的には「男性型脱毛症」ですが、ここでは「薄毛」で通します)。

ひとたび髪が薄くなると回復するのは大変です。なので予防を目指し、皆さんの中でもシャンプーに気をつけたり、定期的に頭皮をマッサージしたりしている方もいらっしゃるのでは?

そんな若年から中年男性にお伝えしたいのが「砂糖入り飲料を飲むと薄毛が進む可能性がある」という論文です。「栄養素」という学術雑誌に今年の1月に掲載されました [書誌情報は文末] 。著者は中国・清華大学のXiaojin Shi氏たちです。

15〜45歳の男性1000人を調査

今回の研究が対象としたのは、中国に住む15歳から45歳の男性およそ1000人です。「BEVQ-15」という質問票を使って、砂糖入り飲料を飲む頻度と回数を調べました。また「薄毛」との診断歴や治療歴も答えてもらい、砂糖入り飲料との関係を調べたのです。すると以下が明らかになりました。

まず全体の58%が「薄毛」でした。年齢から考えると少し多い気もしますね。

そして「薄毛」の人ほど砂糖入り飲料を飲む「回数」は多かったのです。

同じように薄毛の人たちは1週間あたりに飲む砂糖入り飲料の「量」も多くなっていました。

要するに「砂糖入り飲料をよく飲んでいる」ということです。

ただし毛髪に影響を与える可能性があるのは砂糖入り飲料だけではありません。そのほかの食べ物や飲み物、あるいは髪染めやパーマの有無、タバコやアルコールにも影響を受けます。

1週間7回以上飲むと危険度は2倍近く増加

そこでShi氏たちはそのような因子の影響をすべて統計学的に除去した上で、あらためて砂糖入り飲料が薄毛に与える影響を計算してみました。

すると砂糖入り飲料をまったく飲まない人に比べ、「週1〜3回」飲む人では薄毛の危険性が1.2倍、「4〜7回」で1.3倍、「7回以上」では1.8倍に跳ね上がっていました。

同じようにまったく飲まない人に比べ「少し」飲むと答えた人では1.3倍、「まあまあ」で1.4倍、「たくさん」飲む人は1.6倍、薄毛の危険性が高くなっていました。

いかがでしたか?砂糖入り飲料をよく/たくさん飲む人は薄毛の危険性が高いという医学論文でした。

残念ながらこの論文だけでは砂糖入り飲料を減らすと薄毛が防げるか、確実なところは分かりません。でも「君子危うきに近寄らず」です。毛髪が気になるなら避けておいて損はありません。

なおこの研究では、砂糖以外の甘味料入り飲料は薄毛の危険性を高めていませんでした。

成長因子導入や細胞移植療法を医師は避けるようアドバイス

なお、冒頭ご紹介した日本皮膚科学会ガイドラインは薄毛治療として「成長因子導入、および細胞移植療法は行わないほうがよい」と推奨しています。「安全性なども含め,その有効性は決して 十分に検証されているとはいえない」というのがその理由です。「成長因子」といえば聞こえは良いですがこれが暴走すると発ガンの原因ですからね。念のためお伝えしておきます。

飲み物については以下のような論文紹介記事も書いています。ぜひこちらもお読みください。ではまた!

今回ご紹介した論文

砂糖入り飲料をよく飲む男性には薄毛が多い [英語、全文無料]

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【注意】本記事は最新の医学論文についての紹介あり、研究結果の内容はあくまでも「論文筆者」によるものです。また論文の解釈は論者により異なる可能性もあります。あくまでもご自身の見解形成の参考としてお読みください。

医学情報レポーター

医療従事者向け書籍の編集者、医師向け新聞の記者を経てフリーランスに。15年以上にわたり新聞社系媒体や医師向け専門誌、医療業界誌、会員向け情報誌などに寄稿。近年では医師向け書籍も共著で執筆。国会図書館収録記事数は3桁(含筆名)。日本医学ジャーナリスト協会会員。

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