【高野町(高野山エリア)】珍梅酒。以前『みりん』と呼ばれていた江戸時代に流行したお酒で梅酒を仕込む
梅の時期になると梅酒を作られる方が多いと思いますが、単純にホワイトリカーで仕込む分には問題ないのですが、他の材料で仕込もうと思った時に、その製造には法的な規制があります。
Q1 消費者が自宅で梅酒を作ることに問題はありますか。(国税庁HPより)
A 焼酎等に梅等を漬けて梅酒等を作る行為は、酒類と他の物品を混和し、その混和後のものが酒類であるため、新たに酒類を製造したものとみなされますが、消費者が自分で飲むために酒類(アルコール分20度以上のもので、かつ、酒税が課税済みのものに限ります。)に次の物品以外のものを混和する場合には、例外的に製造行為としないこととしています。
また、この規定は、消費者が自ら飲むための酒類についての規定であることから、この酒類を販売してはならないこととされています。
1 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ若しくはでん粉又はこれらのこうじ
2 ぶどう(やまぶどうを含みます。)
3 アミノ酸若しくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物若しくはその塩類、有機酸若しくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす
根拠法令等:
酒税法第7条、第43条第11項、同法施行令第50条、同法施行規則第13条第3項
ホワイトリカーの仕込みはもう何年も何回もやってきて、20年以上熟成させた超古酒梅酒もあり、それ以外のお酒でも仕込んだことはあるのですが、もっとマニアックなお酒で仕込んでみたいと思い、今年初挑戦したのは『みりん仕込み』。
みりんのコクを活かした梅酒を作りたい!
今でこそ、みりんは「調味料」との考え方が一般的ですが、みりんは元来、飲用を目的として製造された酒であり、江戸期に清酒が一般的になる以前は甘みの有る高級酒として飲まれていました。
現在でも薬草を浸した物を薬用酒として販売されています(屠蘇、養命酒など)
ただ、一般的な本みりんではアルコール度数が14%前後のため、上述の法律にひっかかって梅酒は仕込めないので、どうするか頭をひねってみました。 ※みりん風調味料は論外です
あ、「柳蔭」があるじゃないか!
柳蔭:
一言でいうと、ミリンの焼酎割り。
「本直し」などとも呼ばれ、江戸時代、夏場の栄養補給に甘いみりんを焼酎で割って口当たりを良くしたお酒が飲まれていました。もち米と米麹、米焼酎からできたこのお酒は、夏場には冷やしたものが高級品の甘味滋養飲料として、愛飲されていました
柳の木蔭で涼をとりながら飲むことに由来する、何とも風流な飲み物です。
法的には「飲用みりん」と言われ、かつては酒税法上「本みりん」とは区別され、飲用みりんは本みりんより課税額が安かったのですが、のちに一本化されました。
ということで、今回仕込みに使ったお酒はコチラ。
アルコール度数20度なので、法律的にも全く問題ありません。
(商品説明文。製造元サイトより)
もち米と米麹をアルコールに仕込んで、半年間熟成させて搾りました。
普通のみりんよりアルコール分が高め(20%)ですので、素材の臭みを消してよい香りが引き立ちます。
また、麹由来のぶどう糖やアミノ酸の成分で、上品な甘味と幅のある味とコクが出ます。
お料理の照りもよく鮮やかに仕上がります。
※このお酒は甘いものの糖度はそれほど高くないので、エキスを出させるために氷砂糖を少し投入しています。
この商品を通販で買えるところがなかったため、製造元に直接電話で確認したところ、年間生産量800本のみで業務用に販売してほぼ無くなるため、一般用にはほとんど流通していないとのこと。一度目の電話では在庫切れでしたが、時間をあけて再度聞いて見たら一本だけ在庫がたまたまあったらしく、売って頂けました。
そんな経緯もあり、製造元に迷惑をかけるといけないので、当記事は梅の時期からずらして掲載しました。
もし私と同じように試してみたい人は、「本直し」または「柳蔭」で検索すると同等他社品が買えるので、そちらからお買い求めください。
熟成し終えたら、また味のご報告いたします。