ネットメディアはまだ小勢力…映画情報の入手ルートを探る
大型テレビの普及やネット配信技術の向上でビジネスの変革を求められている映画界隈。一人でも多くの人に新作映画の良さを知ってもらい、映画館へ足しげく通ってもらえるよう、多方面からの誠意努力を続けている。エンタメ業界では特にコアとなるロイヤリティの高いファン層の確保拡大と、適切な情報提供が欠かせないが、それは映画業界でも変わらない。
そこで主な上映場所となる映画館に足を運ぶ人達へのアプローチに注目が集まるところだが、その人達はどの経由で映画の情報を入手しているのだろうか。「映画館に足を運んで映画を観賞する」人に、どのようなルートで映画に関する情報を入手しているのかについて聞いた結果が次のグラフ。今件はディムズドライブのネットリサーチが2013年12月に発表した、同年4月に実施した調査の結果を基にしたものだが、インターネット経由で行われた調査であることに留意してほしい。
第2位の「映画館で上映される予告編」に3倍近い差で「テレビやラジオのCM」がトップについている。回答率は71.2%。映画館に足を運ぶ人の7割強は、テレビやラジオのCMを参考にしているという結果に。テレビやラジオがいかに映画の情報公知に貢献しているか、テレビCMが効果を発揮しているかが分かる(インターネット調査ですら、である)。従来メディアという視点では「新聞」も上位に顔を見せているが、25.8%と効果は約1/3。動体・音声を使えない以上、テレビの方が高い効果を得るのは当然の話とはいえ、この差の大きさにはやや驚かされる。
上位には「映画館で上映される予告編」「映画館の建物やウェブでの近日上映予告」など、映画館そのものや関連媒体をチェックしていないと認知できないルートが顔を連ねている。これは映画館へ通う人がリピーター化しており、「映画館へ足を運ぶ」「映画を観る」「新規上映予定の情報を知る」「その映画を観るために再び映画館へ足を運ぶ」のループが生じているものと思われる。
他方、ソーシャルメディアやバナー広告などのインターネット経由のルートはそれなりに効果は出ているものの、テレビや新聞も口コミ、映画館自身と比べれば影響力は小さい。今件がインターネット経由で行われたにも関わらず、このような結果が出ている点を見ると、いかにテレビやラジオのCMが映画にとって重要なのか、そしてインターネット関連の広告は「映画情報に限れば」まだ大した影響力ではないことかが分かる。ネット界隈に限れば、これからどのような切り口で、影響力を高めていくかが課題となる。
やや余談ではあるが、トレインチャンネルに代表される電車内のモニターを用いたCMを含む「電車内の広告、モニターCM」経由との意見は1割を超えている。SNSやネットでの広告・プロモーションにほぼ匹敵する値である。映画鑑賞者に対するアプローチとして有効な手段足りえることは、知っておいても損はないはずだ。
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