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働き方改革実現会議の現場より 教師の長時間労働、女性の就労の3条件について提言。保育園は必須です!

白河桃子相模女子大特任教授、昭和女子大客員教授、少子化ジャーナリスト

不退転の総理の決意

2月22日第8回働き方改革実現会議の現場よりご報告です。

今日のテーマはフリー。教師の長時間労働、女性の就労の3条件「男性産休」「最賃アップ」「保育園」について提言しました。

2月の前2回はどちらも「労働時間」がテーマに入っていました。しかし前回は誰も「上限の時間」を明言しない、非常に緊張感あふれる会議でした。

政府案は「月平均60時間」で年間「720時間」が罰則付きの上限。しかし、繁忙期等は720時間の中で、どうやりくりするか? 繁忙期での上限はどこまで許されるのか? 会議の裏では激しい攻防があります。

そんな中で、私の提言は「繁忙期でも最高75時間以下」というかなり思いきった数字を提示したものでした。そのほかにも、65時間以上の月に関して、産業医との面談、65時間の月の連続の禁止、12時間以上働いた翌日はインターバルという厳しい条件も付け加えました。

あえて厳しい数字をあげたのは、上限労働時間について提言できる最期のチャンスだからです。

今後の会議は実現可能な数字を探ります。なによりも「歴史的に初めての働く時間の上限」を入れたい。しかし、将来は「女性活躍新法」の基準である「時間外労働は月45時間以内」を基本に働く風土になってほしい。なぜなら、女性が活躍し、男性が家庭参画できる、また健康が守れる、そして少子化にも影響があるのは、やはり45時間という数字だと思うからです。

合意がなければ水泡に帰す?

報じられているように「労使の合意」が、今まさに行われようとしているところです。

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今回も総理のスピーチは、まだ合意がない状態への、更なるプレッシャーともとれました。また前日に高橋まつりさんのお母様と面会したということです。「法案を出す」という強い決意の表れのようにも思えました。

下記の総理スピーチの、このあたりが注目ポイントです。(官邸HPより)

「罰則付きの時間外労働上限規制の導入についても、長年、労政審で議論してきましたが結論が出なかった問題でございます。ということは、一度ここで何か強引な結論を出したとしてもこれは労政審に出していくわけでありますから、そこでまた結論が出ないということになるわけでございます。

そこで私が議長という責任を持つ形で本会議を設置して、議論していただいているわけでございます。」

この会議を設置した時点から、「罰則つき上限規制を今度こそ」という思いが感じられます。

「これまでの努力が水泡に帰すことのないよう、しっかりと合意形成に努めていただきたいとお願いを申し上げます。」

下記に総理スピーチ全文があります。いよいよ大詰めです。

http://www.kantei.go.jp/…/actions/201702/22hatarakikata.html

教師のするべき仕事でないことの8割を教師が担う?

本日の私の提言はこちらです。この会議の委員となってから「私たちの働き方も何とかしてほしい」という声が多いのが「教師」「医療従事者」「霞ヶ関含む公務員」「マスコミ」「保育士」などです。

今日は特に喫緊の課題である「教師の長時間労働」についてとりあげました。資料は民間校長として有名な平川理恵さんからご提供いただきました。

また女性の就労に必要な条件として「男性産休」の必要性、「最低賃金のアップ」、「保育園の拡充」があります。保育園については、すでに一億でも議論し、以前よりも少しは前進しているのですが、それを上回る勢いで就労したい女性が増えています。またChange.orgでの署名運動も始まりました。保育園を落ちた人の声について、今日一言でも触れたいと思いました。

みんな #保育園に入りたい! 子ども子育て予算にプラス1.4兆円追加して、待機児童を解消してください

会議にあげた資料はこちらです。

「労働時間の上限については一億から引き続き、提言させていただいている。ぜひ今回は労使、委員の皆様、協力して、働く時間に上限を入れるはじめての法規制が実現するようにお力をおかしいただきたい。

また、私のところに「自分たちの働き方もなんとかしてほしい」という声が多数寄せられています。

教師、医療従事者、公務員(霞ヶ関含む)、です。特に教師については英国で決められた教師がするべきでない仕事の8割を日本では教師が担っています。今各校事務担当は一人ぐらいなので、さらにもうひとりIT の事務担当者割り当てること、また子どもたちにタブレットを配ることも効果的です。詳しくは資料をごらんください。

また、女性の働き方についてです。

女性活躍には、「ガラスの天井」問題と、「年収が重力から逃れられないほど低い」問題の二種があります。

実は若年層のフルタイム共働き夫婦の数は減っており、夫フルタイム妻パートタイムの共働きが増えています。女性の年収がいつまでも100万前後の重力から逃れられないと、消費も増えず、子どもの数も増えず、老後の女性の貧困が増えます。もっと女性の年収をあげる必要があります。

以下の三つが重要です。

女性の就労に欠かせないものとして

1) 男性の育児参画

2) 最低賃金の上昇

3) 保育園の拡充

1) については、この働き方改革を機に「男性の産休」(育児スタートアップ休暇)を企業は導入、または取得率を公表してほしいし、また育休、産休取得による「評価の低下」をしないと確約してほしい。

また男性育休の分割取得を可能にしてほしい。

2) 地方によって最低賃金の差があり、世帯所得がアップする200万以上に達するには、働く時間の差が首都圏と地方では10時間以上ある。女性がもっと働きたいと思うには「最低賃金のアップ」も効果的です。

3) 保育園については、すでに一億から議論され、施策もはじまっている。やってくださってはいるが、女性の就労はそれを上回る伸びだ。今までの自治体が主体となって供給する形には限界があるのではないか?

保育の質を担保しつつ、「企業主導型保育所」のような認可型ではなく指定型などの新しい試み、そして自治体の負担も大きいので、国からの予算のさらなる拡充を望みます。」

相模女子大特任教授、昭和女子大客員教授、少子化ジャーナリスト

東京生まれ、慶応義塾大学。中央大学ビジネススクール MBA、少子化、働き方改革、ジェンダー、アンコンシャスバイアス、女性活躍、ダイバーシティ、働き方改革などがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに19万部超のヒットとなった著書「婚活時代」で婚活ブームを起こす。内閣府「男女共同参画重点方針調査会」内閣官房「第二次地方創生戦略策定」総務省「テレワーク普及展開方策検討会」内閣官房「働き方改革実現会議」など委員を歴任。著書に「ハラスメントの境界線 セクハラ・パワハラに戸惑う男たち」「御社の働き方改革、ここが間違ってます!」「『逃げ恥』にみる結婚の経済学」「女子と就活」「産むと働くの教科書」など多数。

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