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遂に元所属の現役投手がサイン盗みを認める証言を! 窮地に追い込まれそうなアストロズの行方は?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
アストロズのサイン盗みを認める証言を行ったマイク・ファイアース投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【スポーツ専門サイトがアストロズの告発記事を公開】

 スポーツ専門サイトの『The Athletic』は現地時間の12日、同サイト上でケン・ローゼンタール氏とエバン・ドレリッチ氏の連名記事を公開し、4人のチーム関係者から話を聞き出し、2017年のアストロズがホーム試合でサイン盗みを行っていた事実を明らかにした。

 証言者の中には、当時アストロズに在籍していたマイク・ファイアース投手も含まれており、この記事公開に合わせ、多くの米メディアが追随報道を行っている。

 今回の告発記事を受け、米メディアの間にはMLBが調査に乗り出す可能性を指摘しており、今後さらに波紋を広げていくことになりそうだ。

【センター設置のTVカメラを使いサインを盗む】

 『The Athletic』は有料サイトのため記事の全文を確認できていないが、追随報道を行った別のスポーツ専門サイトの『the Score』によれば、2人の記者は2017年にアストロズに在籍していたチーム関係者4人から証言を得たという。そしてその中の1人に、2015年から3シーズンにわたり同チームに在籍していたファイアース投手が含まれていた。

 彼らの証言によれば、アストロズはセンター後方にあるTVカメラの映像をベンチ脇の壁に設置されたモニターに映し出し、それを使って捕手のサインをチェックしていた。そしてチームスタッフと選手らでサインの内容が確認できると、すぐさま打者に伝達するシステムが出来上がっていたと話している。

 また4人の証言者のうち2人は、サイン盗みはポストシーズンでも実施されていたと話している一方で、他の1人はレギュラーシーズンでしかサイン盗みを行っていなかったと証言の食い違いもみせている。

 ちなみに2017年のアストロズは、球団史上初のワールドシリーズ制覇を成し遂げている。

【チームは声明を発表「MLBに協力して調査を開始」】

 『The Athletic』の情報筋によれば、今回の告発記事を受け、MLBは元所属選手を含めアストロズ選手数人から事情聴取を行う方針のようだ。

 一方アストロズは告発記事を受け、以下のような声明を発表し、MLBへの全面協力を表明している。

 「『The Athletic』が本日投稿した記事に関して、アストロズはMLBと協力して調査を開始した。現時点でこの件に関してこれ以上のコメントをすることは不適当だと考える」

【サイン盗み疑惑が絶えなかったアストロズ】

 実はアストロズがサイン盗みの嫌疑をかけられたのは、これだけではない。

 2018年のポストシーズンでは、アストロズのチーム関係者が試合中に対戦相手のインディアンズとレッドソックスの様子を写真撮影していることが発覚。この際はジェフ・ルノーGMが、相手チームの不正を確認するための行為だったと釈明している。

 また今年のリーグ優勝決定シリーズでも、対戦相手のヤンキースからホイッスルを使ってサイン盗みをしていると疑われ、調査を受けている。

 そんな状況下で、ファイアース投手が名前を公表した上でサイン盗みをしていた事実を証言したことで、人々の目は相当厳しくなるのは必至で、今後アストロズは窮地に追い込まれることになりそうだ。

 まずは今後の調査の行方が注目されるところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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