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「多くの人は夜中に出歩くと危険な地域に住んでいる」の認識を属性別にさぐる

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 夜中の出歩きが危険か否かの認識は。(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)

自国が経済的、生活環境や治安面で安定しているか否かを推し量る指標の一つとして、夜中に出歩くと危険か否かとの問題がある。治安が悪く経済的にも困難であれば、夜間は犯罪に遭遇する可能性が飛躍的に高くなる。そのような夜間の出歩きが危険な地域が多ければ、国そのものが国民の望む形をしていないとの認識をしてもあながち間違ってはいない。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2019年4月に発表した、民主主義諸国における民主主義の浸透度合い、国民の認識に関する調査結果「Many Across the Globe Are Dissatisfied With How Democracy Is Working」(※)から、属性別における「多くの人は夜中に出歩くと危険な地域に住んでいる」の認識の実情を確認する。

今調査の結果によれば、「多くの人は夜中に出歩くと危険な地域に住んでいる」の認識を持つ人の割合は、調査対象国全体の中央値としては35%。少数派に留まっている。ただし国によって大きな差異があるのも事実。

↑ 自国における実情(多くの人は夜中に出歩くと危険な地域に住んでいる)(2018年春)
↑ 自国における実情(多くの人は夜中に出歩くと危険な地域に住んでいる)(2018年春)

この回答に関して、属性別に見るといくつかの違いが見えてくることが報告書で報告されている。まずは世帯年収別について、有意な差異が出た国を挙げたのが次のグラフ。

↑ 自国の実情(多くの人は夜中に出歩くと危険な地域に住んでいる、世帯年収別)(2018年春)
↑ 自国の実情(多くの人は夜中に出歩くと危険な地域に住んでいる、世帯年収別)(2018年春)

きれいな形で新興国では高収入の方が「多くの人は夜中に出歩くと危険な地域に住んでいる」との認識率は高く、先進国では低くなる。報告書ではこの傾向について具体的な解説は無い。恐らくは、全体としては新興国では危険な地域は実際に多く、先進国では少ないという前提があり、新興国では低年収層は危険ではあってもそれが普通のものであるとの認識に留まってしまっているのだろう。ところが高年収層では治安の悪さが目に留まるようになってしまう。

一方先進国では高年収層はそれなりに治安のよい場所に住んでいることから、国全体としても治安の悪さはそれほどのものでは無いとの認識を示すが、低年収層は自分の周囲で治安の悪さを覚えてしまうので、国全体としても同様のものと考える人が多いことから、高い回答率が示される、というところだろうか。要は、自分の周辺と日頃の習慣・常識が国全体のものと同じように考えてしまう次第ではある。

続いて男女別。列挙される国が少ないのは、男女別で有意な差が出た国が少なかったため。

↑ 自国の実情(多くの人は夜中に出歩くと危険な地域に住んでいる、男女別)(2018年春)
↑ 自国の実情(多くの人は夜中に出歩くと危険な地域に住んでいる、男女別)(2018年春)

有意差が出たすべての国で女性の方が高い値を示している。こちらも報告書では特段解説は無いが、男性よりも女性の方が夜中の出歩きにリスクを覚える人が多いということなのだろう。有意差が出た国では特に女性にとって安全面での不安を覚える治安状態であり、それを女性自身が認識しているとの読み方もできるのだが。

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※Many Across the Globe Are Dissatisfied With How Democracy Is Working

おおよその国では2018年3月から5月にかけてRDD方式で選出された18歳以上の1000人前後の人に対し、電話経由によるインタビュー形式で行われたもので、それぞれの国の国勢調査の結果に基づき男女別、年齢、教育、地域などの属性によるウェイトバックが実施されている。一部の国では対面方式による調査方法が用いられている。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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