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言葉を現実にする。田村淳の“有言実行力”

中西正男芸能記者
1月30日、トークライブを開いた時の田村淳(左)と田村亮(撮影・中西正男)

 闇営業騒動で昨年6月から謹慎処分となり、1月にトークライブで仕事復帰したお笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村亮さんが、7日放送のテレビ朝日系「ロンドンハーツ」で約9カ月ぶりに地上波復帰を果たしました。

 昨年12月更新のYahoo!拙連載で書いた亮さんの相方・田村淳さんへのインタビュー、そして、その後の周囲への取材などでも繰り返し聞いてきたのは「映像での復帰はYouTubeではなく地上波」という話。この裏には淳さんの強い思いがありました。

 「騒動でレギュラー番組にものすごく迷惑をかけました。もし、復帰なんてことができる日が来るなら、YouTubeとか戻すハードルが比較的低い方法ではなく、地上波の番組で戻らないと意味がない。迷惑をかけた皆さんとしっかりと握手をして一歩を踏み出さないと今後がないと僕は思っているんです」

 インタビュー中、ここはとりわけ強く淳さんが話していた部分でしたし、こちらも、ここにこそ亮さんが復帰へと向かう方法のキモがあると感じていました。

 実際、来るべき日に向けて、謹慎中も亮さんの家に賛同してくれる番組スタッフを伴って幾度となく訪問し、あらゆる意味の下地も作ってきました。そして、具現化されました。言葉を現実にする。その淳さんの力を痛感しました。

 当初の言葉通り、今回の番組放送後に淳さんがYouTubeで動画をアップ。地上波復帰を果たした上で、今後はYouTubeにも亮さんが出演していくことを報告しました。

 地上波復帰に対して、いろいろな思いを持つ方はいらっしゃるでしょうし、いて当然です。

 今回の放送で、淳さんはスタジオの隅にいる亮さんにカメラが向くと「今週から復帰することになりました。ただ、すぐにスタジオに入るのは違うかなと思いまして、しばらくは見学で」と努めて冷静なトーンで説明していました。

 すると、すぐさま有吉弘行さんが「あたしゃ、許さないよ!」とこの上なくポップにつっこむ。さらに、淳さんから水を向けられ、亮さんが謹慎中のエピソードを話すと、また有吉さんが「調子乗ってよく喋るな!」。

 愛しかない空間。本人、そして、周囲の取材を続けてきた僕の目にはそう映りました。

 1月30日、亮さんの仕事復帰の場として行われたコンビでのトークライブ。会場で見ていましたが、そこで亮さんが話していたネタを、改めて番組内でふる淳さん。そして、同じネタでも、ライブの時よりも、なめらかに、そして、確実に面白く返す亮さん。

 文字を綴る商売をしていてナニですが、文字にしてしまうとその瞬間に妙味が消失するが、でも確実に存在するとてもポジティブな何か。淳さんと亮さんのやりとりから、それも強く感じました。

 いろいろな意見はあるが、戻る以上は徹底的にイジる。愛で愛をサンドする、原材料全て愛のミルフィーユ。

 それだけの空間を作ろうとみんなに思わせた亮さんの人間性に、改めて脱帽です。そして、その空間を本当に形にしきった淳さんの馬力も、再認識しました。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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