第二次補正予算案にかかわる国債増発
政府は8日の持ち回り閣議で2022年度第2次補正予算案を決めた。電気代やガス代の抑制策などを中心に一般会計の追加歳出は28兆9222億円にのぼる。税収の上振れなどでまかなえないため、8割にあたる22兆8520億円は新たに国債を発行して穴埋めする(8日付日本経済新聞)。
歳入は2022年度の税収見込みを3兆1240億円上方修正し、財源に使う。税外収入や2021年度の決算剰余金も財源に回すが、足りないため大半は国債の増発で賄う。うち20兆3760億円は赤字国債の増発で補う。
「令和4年度国債発行予定額(二次補正後)」財務省のサイトより https://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2022/issuanceplan221108.pdf
一次補正から比べて新規財源債は22兆3760億円の増発となる。建設国債は2兆4760億円、赤字国債が20兆3760億円の増発。
しかし、財投債が8兆5000億円減額され、借換債が4兆4351億円減額される。財投債の未使用分、税収予想の上振れなどによるとみられ、これによって一次補正に比べての国債増発は9兆7273億円となる。
さらに前倒し発行による調整分が4兆9570億円加わる。これは予想された長期金利と実際の長期金利の差額によって主に生じたものともいえる。
個人国債も7200億円の上振れとなり、その結果、カレンダーベースでの国債増発は4兆5000億円となる。
「令和4年度カレンダーベース市中発行額(二次補正後)」財務省のサイトより https://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2022/calendar221108.pdf
4兆5000億円のうち4兆2000億円は短期国債の増発、3000億円は2年国債の増発で補われる。これによる市場への影響はほとんどないとみられる。ただし、短期債が大きく増額されたことは、じわりとのちのち影響してくることも考えられる。
2022年度の税収は68兆3590億円と3年続けて過去最大を更新する。一方で2022年度の新規国債の発行額は当初計画から7割増の62兆4789億円となる。2020年度に次ぐ過去2番目の規模となり財政規律は乏しい(8日付日本経済新聞)。
英国のようなことにはならなかったものの、景気が大きく落ち込んでいるような状況にあるわけではないなか、これほどまでの規模の財政を打ち出している。これでもし本当に景気が悪化するような事態になった際には、英国のトラス・ショックのような事態も発生しかねない。日本だけ打ち出の小槌が存在するわけではない。