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全体では6割強、子供の年齢別「仕事ありの母親」の実態を探る

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ スーパーでのレジ係は女性のパート先としてもっとも良く知られている

子供の成長と共に有職女性比率も増加する

女性の社会進出や世帯内可処分所得の減退など社会の変化に伴い、共働き世帯は増えている。大抵の世帯では男性が家計主、女性はその配偶者となるため、女性が有職=共働きの世帯と判断してもほぼ問題は無い。今回は子供の年齢と母親の就労状況の実情を、厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況」から確認していくことにする。

次に示すのは、児童(18歳未満の未婚の者)である子供が居る世帯で、母親が仕事をしているか否かの比率を示したもの。例えば2013年の総数は63.1%とあるので、「末子が児童の世帯のうち、6割強では母親が(も)働いている」ことになる。

↑ 末子の年齢階級別にみた仕事ありの母の割合(「母の仕事の有り無し不詳」は含まず)(児童あり世帯比)(-2013年)
↑ 末子の年齢階級別にみた仕事ありの母の割合(「母の仕事の有り無し不詳」は含まず)(児童あり世帯比)(-2013年)

今世紀初頭の2001年と比較すると、末子の年齢で多少の違いはあるが、大体7から16ポイントの増加が見られる。増加原因はさまざまな事柄が推測できるが、あえて主要なものを列挙するとすれば、支出の増加と収入の減少、そして生活意識の向上によるものと考えられる。また核家族率が増加する(三世帯家族が減る)ことで、子供を持つ夫婦の生活が金銭的・育児的に厳しくなっているのも一因。さらには女性の社会進出意識の変化が進み、女性が仕事をすることへの抵抗感が薄れたのも理由の一つ。

子供の年齢が上がると共に母親の有職率も増加する。末子が高校生にもなると(児童を持つ世帯のうち)8割近い母親が仕事を得て働いている。一方で0歳児でも3割強の母親が働きに出ているが、これは父親、保育所や保育施設、そして祖父母が育児をサポート・手伝っていることになる。

「今世紀初頭からの『仕事ありの母親の割合』」の増加傾向を見ると、末子の年齢が小さいほど伸び率・増加ポイント数が大きい。例えばゼロ歳児では45%の増加、15-17歳児では14%の増加となっている。元々の値が小さかったのも一因だが、同時に「子供が小さくても働きに出なければならない(経済上)」「出たい(女性の意識上)」が増加している結果。

なお直近2013年では子供の年齢区分で複数の項目において、前年2012年からの減少が確認できる。特に0歳、3歳、12-14歳の下げ幅が大きい。イレギュラーなものと思われるが、留意は必要。

子供がいる「働く女性」における正社員・非正社員率

次に示すのは子供が居る世帯における、就労主婦の正社員・非正社員率。これらのどれにも該当しない女性が、専業主婦となる。非正社員はパート・アルバイトが該当する。また出産前に正社員として勤めていた会社に、嘱託として勤務する場合もありうる。

↑ 末子の年齢階級別にみた仕事ありの母の割合(「母の仕事の有り無し不詳」は含まず)(児童あり世帯比)(就業形態別)(2013年)
↑ 末子の年齢階級別にみた仕事ありの母の割合(「母の仕事の有り無し不詳」は含まず)(児童あり世帯比)(就業形態別)(2013年)

子供が成長するとかかる手間も少なくなり、正社員としてフルタイムで働ける条件も整ってくる。しかし現実には子供の年齢と正社員率には関連性は見られない。子供が成長しても、正社員率は(児童あり世帯比で)2割前後でしかなく、非正社員率のみが上昇し、主婦の就労率を押し上げている。

子供がいる女性の正社員率が上がらないのは、手間がかかりにくいとはいえ、子供に何かトラブルが生じた時の対応のしやすさ、時間拘束の問題がネックになっていると考えられる。さらには就労が難しい正社員としてよりは、就労しやすいパートなどの非正規社員として雇われることで、金銭的な家計の補完が最優先されると考えれば道理は通る。いわゆる「主婦の就労事情」が透けて見えてくるというものだ。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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