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巨人 高木のみ1年の処分 、「更生の道を」はひとつの見識も既処分3人も「恩赦あり」には疑問

豊浦彰太郎Baseball Writer
「更生の道を」は理解できるが「恩赦の可能性」は現役選手への処分には不適ではないか(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

同じ野球賭博でありながら、昨年11月に処分決定済の3人は無期失格で高木京介は1年の処分であることが議論を呼んでいる。

NPBの熊崎勝彦コミッショナーは、高木には短い処分期間とした理由として、笠原、福田、松本の既処分組と比べて賭博への関与が軽微であることを挙げている。それがここまでの差に値するのかという疑問は残るし、昨年の内部調査の段階では高木はウソをついていたことはどうなんだという思いもある。しかし、コミッショナーが挙げたもうひとつの理由である「更生の道を」というのはひとつの見識で、ぼくは賛同したい。

もっとも、基本的な姿勢に一貫性がないのは問題だ。此の期に及んで「先の3人の期間短縮もあり得る」とはどういうことか?もしその可能性があるなら、なぜ彼らの処分発表の際にそのことに言及しないのか。これでは、「高木は1年」ありきで矛盾を正当化するための後出しじゃんけんと言われても仕方ない。

また、法曹界出身の熊崎コミッショナーにとっては「恩赦」は当然のことかも知れないが、現役野球選手に将来の軽減の可能性ありの無期失格は適さないと思う。2-3年現役を離れたら体力・技術の面でもう復帰は無理だと考えるべきだからだ。復帰を許されても以前のように活躍できる可能性が乏しいのに、一縷の望みをもたせて失格期間中トレーニングに精を出させるのは残酷だ。第2の人生はなるべく早くスタートした方が良い。ならば、いっそのこと「もう復帰はあり得ない」と釘を刺した方が、彼らのためだと思う。

残念ながら、一連の賭博・金銭授受スキャンダルに関するNPBのアクションは、どうも一貫性に欠ける。「声出し」にしても協約違反ではなく公表するに値せず、としながらも「許されないこと」で、結果的に全面禁止にしている。また、賭博者への処分も、ぼくは「更生の道を」という考えを支持するが、一旦無期としたからにはぶれずにそれを貫くのアリだと思う。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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