原油高、米長期金利上昇、円安のスパイラルで日本の長期金利にも上昇圧力、どうする日銀
サウジ国営通信は5日、同国が現行の日量100万バレルの自主減産を年末まで続けると表明し、これとは別にロシアも日量30万バレルの輸出削減を年内続けると明らかにした。
これもきっかけとなり、原油先物価格は上昇し、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は一時は88.07ドルと期近物として、昨年11月中旬以来の高値を付けた。
WTI先物の日足チャートをみると、昨年7月に100ドルの大台を割り込み、今年5月には一時64ドルを割れ、ここが直近の安値となった。その後切り返し、ここにきて88ドル台を回復。90ドルが見えてきた。
米国債券市場では、社債発行増による米国債の需給緩和懸念に加え、原油先物価格の上昇を受けてインフレが高止まりする可能性が意識され、米長期金利は5日に4.26%まで上昇し、こちらは4.3%が見えてきた。
原油高も意識されての米長期金利の上昇、そして原油高によるインフレ圧力の根強さを背景としたFRBの金融引き締め長期化も意識されて、5日の外為市場でドル円は一時147円80銭と昨年11月上旬以来の水準を付けた。こちらは150円が見えてきた。
円安は輸入物価を通じて国内物価の上昇要因となり、米長期金利の上昇、そして原油高そのものも国内の物価を押し上げることになり、これらは日本の長期金利の押し上げ要因ともなる。
5日の10年国債の入札は低調な結果となったが、これは業者、投資家ともに慎重となっており、長期金利の居所についてまだ明確な答えが出ていないということを示しているともいえる。
今後、さらに日本の長期金利に上昇圧力が強まることも予想される。このスパイラルを断ち切るには、為替介入などよりも、日銀が金融政策の柔軟性を取り戻すことが不可欠となろう。どうする日銀。