もし気象衛星ひまわりがなかったら天気予報はどうなる?
7日、来年から運用が予定されている気象衛星ひまわり8号が打ち上げられます。
もし「ひまわり」の打ち上げが失敗したら
私の気象キャスターのスタートは、打ち上げられる気象衛星が爆破した日でした。1999年11月、H-IIロケットの打ち上げが失敗してしまったのです。
その後も様々なことが重なる間に、前代のひまわりが寿命を迎えて、2003年から約2年間は観測できる「ひまわり」がない状況に。その間は、アメリカの気象衛星を西太平洋上空まで移動してもらい、借りて観測をしていました。
その運用や地上設備改修で、気象庁が使ったお金は約10億円。それだけのお金を使ってでも、日本を含むアジア・西太平洋周辺の常時監視は、現代の天気予報になくてはならないものになっています。
もし「ひまわり」がなかったら
気象衛星がなければ、観測地点の乏しい海上での台風の発生や動きも把握が難しくなりますし、豪雨をもたらす積乱雲の全体像もつかみづらくなります。
また、気象衛星の観測データは、スパコンによる予測の元にもなっていて、もし観測データがなくなると天気予報の精度は落ちるでしょう。
今回打ち上げられるひまわり8号は、観測が現在の30分間隔から10分間隔に。日本周辺では2分半ごとの観測になります。画像の解像度も上がるなど、天気予報の進化に貢献するはずです。
「ひまわり」だけで天気予報は良くならない
ただ、新しい仕組み一つだけで、飛躍的に予報の精度が良くなるほど、天気は甘くありません。
新しい観測システムや予測技術が出てくるたびに、「天気予報が変わる」「豪雨が予測できる」と、期待を込めてなのか大きく報じられますが、過剰なものも目立ちます。例えるなら、「これだけ食べれば体は良くなる」と言っているようなものです。
一つ一つのシステムや技術の進化により、天気予報は一歩一歩進化してきました。さまざまな食べ物が体を作るように、ひまわり8号も、今より精度の高い将来の天気予報の一部となるはずです。