10年債利回りが再び0.5%に接近中
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4月17日の夕方に10年国債の新発債である370回債の利回りが0.480%まで上昇した。
日銀による指値オペによって、369回、368回、367回はそれぞれ日銀が一時発行額以上を保有するという異常な事態に陥った。空売りは解消されつつあるようだが、いずれにしても日銀がほぼ発行額を買いあげていることもたしかである。
これに対して4月4日に入札され、5日に発行された370回債については、4月に入ってからも毎営業日に指値オペがオファーされたにもかかわらず、応札・落札はゼロの日が続いていた。
これは370回の利回りそのものが0.5%を下回っていたからである。その大きな要因に欧米の長期金利の低下がある。
米10年債利回りは3月はじめに4%を超えていたが、そこから低下し4月はじめに3.3%近辺まで低下していた。
3月に入り、シリコンバレー銀行(SVB)とシグネチャー銀行が相次いで破綻したことで、金融不安が強まった。欧州では3月にクレディ・スイスへの不安が強まり、その結果、UBSがクレディ・スイスを買収した。
これらを受けて、リスク回避の動きから欧米の国債が買われ、また金融不安によって中央銀行の利上げが停止されるとの思惑も出て、欧米の長期金利は低下した。
しかし、金融不安がさらに拡がることはなく、FRBやECBは利上げを継続させる姿勢を示してきたことから、欧米の長期金利は目先底打ちした格好となった。
17日の米10年債利回りは3.6%近辺に上昇してきた。これを受けて日本の国債利回りにも上昇圧力が加わることが予想される。
4月9日に日銀総裁に植田氏が就任した。植田日銀体制となってからの長期金利レンジの上限0.5%の接触はまだない。しかし、これから0.5%を付けてくる可能性が高まった。
0.5%を付けても淡々と指値オペを打ってくるとは予想されるが、これで370回も日銀が大量に国債を保有することとなってしまうのか。
繰り返すようだが、国債利回りが0.5%に張り付く前に、イールドカーブコントロールを解除すべきと考える。それであればオーストラリアが、金利に上昇圧力のあるなかでイールドカーブコントロールを解除した際のような混乱はある程度防げよう。チャンスは生かすべきだ。