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滝沢カレンさんは「逆格差婚」?夫の年収が妻の半分以下の婚活事例も

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
(写真:アフロ)

■滝沢カレンさんが結婚発表、お相手は「建築のお仕事」

7月4日、モデルでタレントの滝沢カレンさん(30歳)が自身のインスタグラムで結婚を発表されました。多くの祝福の声が寄せられたことを受け、5日には改めて感謝の言葉を投稿されていました。ご結婚おめでとうございます!

お相手については「建築のお仕事」とだけ明かしていましたが、週刊誌等の一部報道では過去に交際報道があったOさんという男性で、リアリティーショー番組出演やモデル経験があり、現在は建設会社社長であるとされています。滝沢カレンさんは1992年生まれの30歳で、お相手とされるOさんは5つ年下。Oさんは建設業のキャリア10年ですが、会社設立は約半年前ですから、ビジネスとしてはこれからの時期です。Oさんのバックグラウンドはわかりませんが、報道されている情報だけで言えば、妻である滝沢カレンさんのほうがより社会的地位や収入が高いと推測され、「逆格差婚」ともとれるカップリングです。

一方、滝沢カレンさんの結婚コメントを引用すると、「私のお仕事、生活、周りの仲間を私と同じくらい大切にしてくれて、家族のわんこたちを一番に考えて楽しませてくれます」という言葉があり、彼の内面を尊敬し尊重していることが感じ取れます。

芸能人の斬新な結婚観は、数年遅れて一般社会に浸透していく傾向にあります。実際、高年収の女性が多い私の結婚相談所では、ちらほらと今回のようなマッチングが生まれつつあります。

■男性の年収が女性の半分以下という「逆格差婚」の事例

先日ご成婚されたのは、年収1000万円のシステムエンジニアの30歳女性と、年収400万円の25歳の会社員男性です。世帯年収で考えれば1400万円というのは決して少なくありませんが、男性の年収が女性の半分以下という事例は、婚活現場ではめったにありません。女性側の決め手は、一緒にいて会話が弾む、価値観や考え方が似ている、自分を大事にしてくれるという内面の相性でした。

実はこの女性も結婚相談所に入会したときは、同等以上の年収の男性とお見合いをしていました。しかし、自分以上の収入だと自分以上に多忙な相手や、年齢が上の男性になるため、家事や育児は自分が担うことになり、結婚後の働き方が見えにくい……ということに悩みました。また同じくらいの年収の男性とマッチングしても、大抵は年上で、「若いのにすごい稼ぎますね……」と意識されてしまうことも引っかかっていました。そこで私は「それなら年収の枠を取り払って、価値観を重視した相手と会ってみたら?」と提案し、彼女自身が探し出したのが彼だったのです。

彼はもともと年齢を気にしないタイプで、彼女の留学経験や仕事内容を見て、人として興味を持ったのだそう。実は、彼は年収こそ少ないものの、将来性のある会社に勤め、早くからつみたて投資をするなど、若くしてしっかりしたお考えがある方でした。また、婚活の場合、慣れない2人の交際はデートの日取りを決める事すらギクシャクしがちですが、リズムや波長が合い、初回のデートから会話が弾み、3回目のデートではお金や妊活などの深い話ができる関係性になっていました。

最終的に彼女は、「この人を幸せにしてあげたいと思ったから結婚を決めました」と言いました。婚活では条件からお相手探しをしますから、「相手にしてもらおう、与えてもらおう」という思考になることが多いもの。私はその言葉を聞いて、きっとうまくいくと太鼓判を押す気持ちになりました。

■9割以上の女性が「自分より高い年収の男性」を希望

日頃、筆者は婚活アドバイザーとして、婚活女性に男性に求める条件などを聞いてカウンセリングしていますが、体感で9割以上の女性が「自分より高い年収の男性」を希望されます。結婚後の生活を綿密に考えてのことであればいいのですが、社会的地位や年収が高く経済的に自立している女性であっても、同じ条件をおっしゃいます。

つまり、婚活女性は一定以上の収入があっても、主に夫に家計を支えてほしいと考える方が多くいらっしゃいます。一方、男性側も、女性に共働きを望みながらも、自分よりも稼ぐ女性に対しては比較したり劣等感を抱いたりするケースもあります。

男女両方に古い価値観が色濃く残っているからこそ、「逆格差婚」つまり「女性の下方婚」は成立が難しいのですが、実際にうまくいっている当人は、一般的な「格差」にフォーカスしていないのがポイントです。

■アラサー女性の「逆格差婚」は、婚姻率や出生率の伸びしろ?

過去に筆者が婚活のお世話をしてきた、アラフォー世代のエリート女性たちは「仕事を重視したいから、理解してサポートしてくれるお相手がいい」という軸で、「逆格差婚」を選択されるケースが多く、定時で帰宅する公務員や一般会社員など平均年収を稼ぎつつ、料理や家事などを率先して行える男性とマッチングされてきました。

しかし、今回の事例の彼女や滝沢カレンさんは30歳という若さで、よりフラットに、価値観の相性にフォーカスして「逆格差婚」を選択しています。これは若くして精神的に成熟し、先進的であることの表れです。

国勢調査(2018年版)によると平均以下の年収の男性と、平均年収以上の女性の生涯未婚率が大きく伸長しています。そう考えると、仕事で活躍するエリートアラサー女性の「逆格差婚」は、婚姻率や出生率の増加の伸びしろとも捉えられます。今はまだ珍しいケースですが、今後増加していくことでしょう。

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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