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韓国は常に政権与党よりも、野党がより「反日」になる!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
全議員が出席して行われた竹島での慶尚北道本会議の場面(慶尚北道撮影)

 日韓関係は「史上最悪の関係にある」と言われているが、その発端となったのが7年前の2012年8月10日の李明博大統領(当時)の竹島(韓国名:独島)上陸であることは誰もが認めるところである。

 韓国の大統領としては初めて、それも歴代大統領の中で最も「反日」と称されていた李承晩初代大統領ですら足を踏み入れなかった「禁断の地」に現職大統領が上陸した訳だから、「竹島は歴史的にも、国際法的にも我が領土」と主張する日本は猛反発。以後、日韓関係は悪化の一途を辿った。順調だった日韓関係が暗転し、「韓流ブーム」が消沈したのは周知の事実である。

 李明博氏は「左翼系」とみなされている金大中、盧武鉉、文在寅ら進歩派大統領とは違って、保守派大統領である。現在の野党第1党「自由韓国党」の前身である「セヌリ党」(旧ハンナラ党)に所属していた。

 その「自由韓国党」は現在、「韓日関係を不必要に悪化させている」として文在寅政権の「対日外交」を批判している。ところが、「自由韓国党」の牙城である慶尚北道の議会が昨日、張ギョンシク議長以下、全議員が出席し、日本との係争地である「竹島」で第1回定例会議(本会議)を開いていた。李チョル知事も同行していた。

 議会側は竹島での本会議開催の狙いについて「『3.1独立運動100周年』と大韓民国臨時政府樹立100周年を迎え、独島が子孫万代我々の領土であることを国内外に今一度明らかにし、今後、慶尚北道議会が先頭に立って領土主権の象徴である独島を守護する決然とした意志を表明することにある」と説明していた。 

 李チョル知事も張ギョンシク議長も「自由韓国党」に所属している。全60人の議員から構成されている議会は「自由韓国党」が43議席(与党「民主党」9議席、その他8議席)と圧倒的多数を占めている全国でも数少ない「自由韓国党」の「王国」である。ちなみに、改選前の2017年5月の時点では60議席のうち「自由韓国党」が56議席を占めていた。

 この日、午後4時半から開催された本会議では鬱陵島出身の議員が5分間、鬱陵島と独島に関する報告を行った後、「日本の歴史教科書歪曲中断及び独島領有権主張撤回を求める決議案」なるものが採択され終了するや、直ぐに「日本の歴史教科書と独島侵奪欲望を糾弾する独島守護決意大会」に移行。議員らはトゥルマギ(白い外套)をまとい、「独島守護」の文字が印字されている鉢巻を締め、両手に独島の旗と韓国の国旗を手にし、万歳三唱をし、「独島は我が領土」の歌を合唱していた。

 張ギョンシク議長は「日本は依然として領土に対する帝国主義的侵略野望を放棄しておらず、むしろ、それを裏付けるかのごとく憲法改正、防衛白書及び外交青書発表、歴史教科書歪曲、竹島の日の定例行事などを通じて大韓民国固有の領土である独島に対する侵略的野望を露骨化させている」と対日批判の先陣を切り、李チョル知事も「先頭に立って独島を守る」との決意表明を行った。

 李知事は今年2月22日、島根県が条例で定めた「竹島の日」を迎え記念式典を開催したことについて「毎年式典を開催していることや7年連続で内閣府政務官を派遣していることは独島侵奪を加速させていることに他ならない」と糾弾する声明を発表したばかりだ。ちなみに前任者の金寛容知事も在職中の2017年1月に日本政府の関係者が竹島の領有権を主張したことに反発し、竹島に上陸していた。

 「決意大会」で発言に立った議員らはそれぞれ「日本政府の歴史教科書の歪曲は重大な挑発行為である」「日本の大韓民国の領土主権への挑発は未来志向的な韓日関係の発展と東北アジアの平和体系構築の足かせとなっている」と、対日批判を展開し、日本に対して竹島の領有権主張を撤回するよう求めていたが、興味深いのは、自由韓国党議員らが文在寅政権にも批判の矛先を向け「堂々かつ、確固たる領土主権行事を行い、日本の独島侵略野望に強力に断固として対応せよ」と迫っていたことだ。

 竹島は韓国からすれば慶尚北道に帰属しているので慶尚北道議会がこの種のパフォーマンスを行うのはある意味では予想されたことである。

 但し、忘れてはならないのは、韓国は「対日」も「対北」も政争の具にするのがお国柄であることだ。特に「反日」という点では与野党にギャップはない。その証拠に「自由韓国党」のNo.2の院内総務の座にあり、今「文在寅政権打倒」の急先鋒に立っている羅ギョンウォン議員も3年前の2016年8月15日に日本の「到底受け入れられない」(菅官房長官)との抗議を無視し、同僚議員ら10人と共に竹島に上陸し、「反日」の気勢を上げていた。保守の朴槿恵政権下の時のことである。

 日本国内には「告げ口大統領」とか「反日大統領」と散々扱き下ろしていた朴槿恵前大統領を「文大統領よりもまし」と今になって懐かしみ、持ち上げる向きもあるが、その朴前大統領も野党に転落したハンナラ党の代表だった頃の2005年10月、与野党の国会議員12人と共に竹島に上陸していたことを知っている人がどれだけいるのだろうか?

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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