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またしても「自転車スマホ」による死亡事故、男子大学生を書類送検

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:アフロ)

 2018年6月に茨城県つくば市でスマホを見ながら自転車に乗っていた男子大学生が62歳の男性をはねて死亡させていたことで書類送検されていたことがわかった。いわゆる「自転車スマホ」による死亡事故だ。以下に共同通信から引用しておく。

自転車スマホ死亡事故で書類送検

 茨城県つくば市で今年6月、歩行者の男性がマウンテンバイクにはねられて死亡する事故があり、スマートフォンを見ながらの運転だったとして茨城県警が重過失致死の疑いで男子大学生(19)を書類送検していたことが24日、分かった。今月2日付。

 事故は6月25日夜、つくば市の歩道で発生。団体職員松田長生さん=当時(62)=が男子大学生のマウンテンバイクにはねられ、頭部を強く打つなどして翌日死亡した。捜査関係者によると、男子大学生はスマホを見ながら無灯火で走行していたという。男子大学生は書類送検後、水戸家裁土浦支部に送致された。

出典:共同通信(2018年8月24日)

加害者になる「自転車スマホ」は絶対禁止

 「自転車スマホ」による死亡事故は今回が初めてではない。2017年12月には神奈川県川崎市で、電動式自転車に乗りながらスマホ操作をしていた20歳の女子大生が、歩行中の77歳の女性と衝突、歩行者が死亡するという事故が起こった。女子学生はイヤホンをしながら、左手にスマホで、右手には飲料カップを持っていた。そして2018年7月に女子大生に対して禁錮2年が求刑された。今回の男子大学生もイヤホンをしていたようだ。そして夜8時45分ごろだったが無灯火だった。

 自転車運転中のスマホ操作「自転車スマホ」は非常に危険である。よく見かける光景だが、法律で禁止されている行為で、道路交通法第71条、東京都道路交通規則第8条で違反した場合は5万円以下の罰金となる。

 「自転車スマホ」をしている人も「歩きスマホ」と同様に、自転車を運転しながらも、気持ちはスマホの中のメールやSNS、ゲームまたはイヤホンの音楽にいっている。視覚が物凄く狭くなっているし、「歩きスマホ」のようにすぐに止まることができない。そして「自転車スマホ」をしている人は、「歩きスマホ」をしている人と同じように「自分だけは大丈夫。周囲がちゃんと見えているから問題ない」と自己中心的な思考に陥っている傾向が強いが、そのようなことは絶対にない。

 自分自身が事故に遇うだけでなく、相手に大怪我をさせてしまったり死亡させてからでは遅い。「自転車スマホ」は他人の命を危険にさらしてまで、やることではない。

自転車でのイヤホンも危険:聴覚でも周囲の危険察知

 スマホを見ているだけでも危険なのだが、イヤホンはもっと危険であり、こちらもスマホ使用と同じく禁止されている。両手を離しての自転車走行で、耳まで塞がっているようでは危険を察知してからの即座の反応が出来ない。

 自転車に乗っている人でイヤホンをしている人が多いが、目(視覚)だけなく、耳(聴覚)も人間にとっては周囲の危険を察知するのに、非常に重要な役割を果たしている。最近はスマホで動画を見ながら、イヤホンで音声を聞きながら自転車に乗っている人も多い。もはや恐ろしくて、そのような「自転車スマホ」には近寄りたくない。

 そして「自転車スマホ」やイヤホンをして自転車に乗っている人は、車を運転している人から見ても、物凄く危険な存在だ。「目の前にいる『自転車スマホ』をしている人は、自分が運転している車の存在にちゃんと気づいているのだろうか」と、緊張感が高まる。なぜなら、自動車の存在に気が付いてないと、"自動車が突然、目の前に飛び出してきて"、大惨事の事故に繋がることもありうる。まして夜なのに無灯火で「自転車スマホ」をしている自転車は物凄く危険だ。「自転車スマホ」とイヤホンをつけての走行は、自分が思い込んでいる以上に危険であり、そもそも禁止されている行為だ。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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