サラリーマンのゆとり感をこづかい面からさぐる(2020年公開版)
若年層はややゆとりあり
心理的な状態を表す「ゆとり」との言葉は、それに付随する文言により多様な意味合いを持つ。今回は新生銀行が毎年定点観測的に調査発表している「サラリーマンのお小遣い調査」(※)の最新版(2020年6月発表)をもとに、「こづかい」の観点からサラリーマン諸氏のゆとり感を確認する。
今調査によれば男性サラリーマンの2020年における平均月額こづかい額は3万9419円となり、前年比で2672円の増加を示している。
それではそのこづかい額で、サラリーマン諸氏は「生活のゆとり感」をどの程度感じているのだろうか。「大いにゆとりあり」「まあまあゆとりあり」「やや苦しい」「大変苦しい」の4選択肢から自身の心境に一番近いものを一つ選んでもらい、前者二つを「ゆとり派」、後者二つを「苦しい派」として集計した結果が次のグラフ。
こづかいの額面の上では各年齢階層中一番低い40代より、一番金額が高い50代の方が、ゆとりの観点では一番低い値が出ている。単純にこづかいの金額の高低だけではゆとりがあるか否かは判断できないということか。他方、一番ゆとり派が多いのは20代だが、未婚者が比較的多いことから、子供にかかわる金銭的なプレッシャー(子供向けに自分の懐から出費しなければならない事案も想定される)が小さく、余裕感を覚えやすいのかもしれない。
一方で見方を変えれば、どの年齢階層でも半数前後は「こづかいが今の金額では苦しい」との感想を抱いている。上を見渡せばきりが無いが、昼食代や遊興費など日々の消費の中で、お財布事情の厳しさを覚え、ストレスを感じている人が多数いることは容易に想像できる。
経年変化のゆとり感
サラリーマンのこづかいは額面上では横ばい、あるいは漸減の動きの中にある。そのこづかい額で生活上のゆとりを感じる人の割合は、大きな変化は見られない。
こづかいの使い道のトップを行く「昼食代」は500円台が続き、雑誌や新聞などもあまり買わなくなり、ニュースなどの情報取得もスマートフォンなどのモバイル端末で済ますようになる。低消費生活に慣れ、少ないこづかいの中でもやりくりをして、バランス調整をしているのかもしれない。2009年から2010年に大きく「ゆとり派」が増えて以降は、大きな差異が見られない。2017年では「ゆとり派」が大きく増加し、2013年を超える値を示し、それ以降はおおよそ「ゆとり派」が増える傾向があるように見える。
2012年に発表された、「サラリーマンのお小遣い調査」における過去30年分のデータを収録した「サラリーマンのお小遣い調査30年白書」で確認すると、中期的には「大変苦しい」「大いにゆとり」が漸減し、「まあまあゆとり」が漸増、「やや苦しい」が横ばいの動きを示している。サラリーマンが購入する物品の価格変動ややりくり、ライフスタイルの変化が、「まあまあゆとり」を増やし、結果として「ゆとり派」増加の動きを見せている。
とはいえ全体では未だに「苦しい派」が過半数にあることに違いはない。
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※サラリーマンのお小遣い調査
直近年分となる2020年分は2020年4月10日から14日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2717人。男女会社員(正社員・契約社員・派遣社員)に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。公開資料では多くを占める会社員は男性1252人・女性841人。年齢階層別構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て(実社員数をもとにしたウェイトバックはかけられていないので、全体値では社会の実情と比べて偏りを示している場合がある)。未婚・既婚比は男性が40.7対59.3、女性は54.3対45.7。今調査は1979年からほぼ定点観測的に行われているが、毎年同じ人物を調査しているわけではないことに注意。
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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。