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「学校で教えてもらった」87.0%…小中高校生のネットリスクの学習状況をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 学校内でも普通にインターネットは使われる。その危険性をどこで学んでいるのか。(写真:アフロ)

パソコンや携帯電話、とりわけ最近ではスマートフォンを使ってインターネットのサービスを利用する時には、多様な決まりごと、トラブルの回避方法、暗黙の了解的な知識・情報を習得しておく必要がある。それらは知っている人、慣れている人には当たり前の内容だが、知識の無い、経験の浅い人にはとても重要な事柄に他ならない。それらを知らずにインターネットを利用することは、海図を持たずに大海原へ出航するようなものだ。特に経験が浅い子供達には、それらの情報は必要不可欠に違いない。今回は「インターネットを利用する上での危険性に関する子供の学習経験」について、内閣府が2020年4月に報告書を発表した「令和元年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(※)の内容を基に確認していく。

インターネットを介した子供の被害を少しでも減らすには、該当者となりうる子供への教育・啓蒙が欠かせない。そこで子供達に、これまで有害サイトやネットいじめの問題など、インターネット上で発生しうる危険について、説明を受けたり学んだりしたことがあるかを聞いた結果が次のグラフ。「学校などで教えてもらった」との事例がもっとも多く、8割台を占めている。学校が教育機関としての面目を保った形。

なお2018年以降は2017年までと質問の仕方が多少変更されており、厳密には連続性は無い。一部選択肢でイレギュラー的な変動が生じているのは、それが原因と思われる。

↑ 有害サイトやネットいじめの問題などインターネットの危険性について、これまで説明を受けたり学んだりしたことがあるか(複数回答、全体比)(2019年)
↑ 有害サイトやネットいじめの問題などインターネットの危険性について、これまで説明を受けたり学んだりしたことがあるか(複数回答、全体比)(2019年)
↑ 有害サイトやネットいじめの問題などインターネットの危険性について、これまで説明を受けたり学んだりしたことがあるか(複数回答、全体比)
↑ 有害サイトやネットいじめの問題などインターネットの危険性について、これまで説明を受けたり学んだりしたことがあるか(複数回答、全体比)

次いで多いのは親などの保護者から教えてもらった事例で、これが3割近く。テレビや本などの媒体経由、インターネット、友人経由が続く。

経年推移を見ると、携帯電話契約時の説明(特にフィルタリング関連)の促進が行われていることもあり、「機器購入時に店員に教えてもらった」とする回答率が少しずつ増えていた。しかし2015年以降は減少を示しており、残念な形となっている。

他方「学校などで教えてもらった」「保護者から教えてもらった」は増加を示しており、関係界隈における啓蒙活動の促進が成されていることが分かる(2018年で大きな減少を示しているのは上記の通り、質問方法の変更によるものだろう)。スマートフォンの普及に留まらず、携帯ゲーム機など多様な機器でインターネットへのアクセスが容易になったことから、子供を見守る立場の大人たちが一体となって鋭意努力を重ねていることがうかがえる。

「保護者から教えてもらった」は直近では29.6%。見方を変えれば約7割の子供は保護者からネットマナー・リスクについて教えてもらっていないことになる。詳細データを確認すると、照れなどもあるのだろうが、子供の年齢が高くなるに連れて保護者から教わる率は低下する傾向がある(小学生38.4%、中学生29.1%、高校生20.6%)。もう少し、保護者側の積極的な教育啓蒙姿勢をお願いしたいところだ。

もっとも教えさとす場合には、まず保護者自身が十分な情報知識を得る必要がある。しかしながら現状は次の通りとなっている。

↑ 保護者自身は青少年に不適切なサイトやネットいじめの問題などインターネットの危険性について、これまで説明を受けたり学んだことがあるか(複数回答、全体比)(2019年)
↑ 保護者自身は青少年に不適切なサイトやネットいじめの問題などインターネットの危険性について、これまで説明を受けたり学んだことがあるか(複数回答、全体比)(2019年)

あくまでもこれは学んだ経験があるか否かであり、最初から不足なく知識を持ち合わせていれば問題は無いが、すべての保護者が必要な知識を持っているとは考えにくい。

保護者も子供とともに学ぶ姿勢こそ、求められているのかもしれない。

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※令和元年度青少年のインターネット利用環境実態調査

2020年1月10日から2月14日にかけて、2020年1月1日時点で満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(保護者は訪問配布訪問回収法)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法(保護者は加えて郵送回収法)を併用している。有効回答数は青少年が3194人(うちウェブ経由は255人)、保護者は3384人(うちウェブ経由は115人、郵送回収法は41人)。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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