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大地震で大停電 すぐにとるべき対応は? 忘れてはいけないブレーカー 

中澤幸介危機管理とBCPの専門メディア リスク対策.com編集長
(写真:アフロ)

北海道の胆振地方中東部を震源とする大地震により、札幌市内など広範囲で停電が発生している。「道内の火力発電所が緊急停止し、電気の使用量と発電量のバランスが崩れたことで、周波数が乱れ、北海道内の全域で停電が発生した」(北海道電力)ためだ。しかし、大地震で送電線などに直接大きな被害を受けなくても、発電と電気使用量の需給パランスが崩れれば大停電(ブラックアウト)が起きることはこれまで何度も指摘されてきたことだ。

1987 年7月 23 日の午後1時過ぎ、東京都などの 6 都県の 280 万戸で電力供給が停止し、最大3時間を超える大規模停電となった停電事故は、原因が猛暑によりエアコンなどの電力需要が大きく伸びて、その結果、送電線を流れる電流が大幅に増加し、送電の保護システムが次々と作動したことによるものだった。実は、東日本大震災でも、発電設備や送電線が被災して電気が止まっただけでなく、発電所の運転が一時的に止まったことで、負荷が発電量を大幅に上回る事態が起き、周波数が瞬間的に大きく落ち込み、その結果、多数の発電所の自動制御装置が働き、大規模な停電が発生した。電力は貯めておくことができない。需要と供給が常に同量であることが求められるそうだ。

今回の北海道の地震について、北海道電力は「道内の火力発電所が緊急停止し、電気の使用量と発電量のバランスが崩れたことで、周波数が乱れ、北海道内の全域で停電が発生した」としているが、復旧するには、使用量と発電量のバランスをとりながら復旧をしていく作業になるため、長期化することも予想される。

では、停電が起きるとどのような事態が起きるのか。

・電灯の明かりはもちろんだが、電話も電気を使わない昔の黒電話以外は使えなくなる。

・携帯電話などの通信も、仮に基地局の電源が落ちてしまえば使えなくなる可能性がある。

・インターネットも、ルーターやWiFiが使えなければ使えない。

・公共交通は途絶し、信号は消え、店舗は電気やレジが使えなくなることから閉店が相次ぐ。

・非常用発電施設がないガソリンスタンド、ATM、その他多くのサービスが停止する。

一方、健康に関することでは、酸素呼吸器など電源を使う医療機器などを身につけている人は生死にかかわる事態になりかねない。エアコンが使えなくなるため、熱中症にも注意が必要だ。食品の腐敗も早く、食中毒などが発生しやすい状況になる危険もある。

大停電時にすべき対策

対策としては、まず医療器具などの停止により生命の安全に関わる方については、非常用発電設備がある医療機関などに行くことや、高齢者で熱中症などの危険がある方は、非常用発電でエアコンが確保できている施設に行くことが必要。こうした情報を各コミュニティで共有し、優先的に対応できるようにすることが大切だろう。

一般の方については、二次災害の注意を最優先に以下の点に留意してほしい。

・ガソリンや軽油、ガスボンベなどを使った燃焼系発電機を室内で使用しない(一酸化炭素中毒の危険あり)。

・地震でガス漏れなどの危険があることから火器を使う際は十分注意。

・復旧時の過電流から電化製品を守るため、コンセントから外すか、電源を落としておく。

・家を離れる際にはブレーカーを落とす。

・食べ物は、長時間、高温にさらされたものは食べない方がいい。

・余震がある危険性があるため落下物がない場所で安全を確保する。

・なるべく1カ所にまとまって夜を過ごすようにする。

【防犯対策】

・交通事故に気を付ける。

・側溝などに落ちないよう歩く際は十分に気を付ける。

・女性は一人で夜出歩かずなるべくグループで行動するようにする。

・店舗などは、お店のレジにお金を入れておかないこと。財布などは身につけておくこと。

など

危機管理とBCPの専門メディア リスク対策.com編集長

平成19年に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。国内外500を超えるBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト平成25年度事業継続マネジメントを通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務アドバイザー、平成26年度~28年度地区防災計画アドバイザー、平成29年熊本地震への対応に係る検証アドバイザー。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」「LIFE~命を守る教科書」等がある。

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