年始から「不快感」の応酬…文在寅VS米国は大荒れの予感
米国のハリス駐韓大使は7日、韓国KBSとのインタビューで、「我々は南北関係の成功や進展と共に非核化に向けた進展を望む」と強調した。文在寅大統領がこの日に発表した「新年の辞」で、米朝対話の進展を待つよりは南北協力を先行させたい意思を鮮明にしたことを受けたものだ。
文在寅氏は新年の辞で、2032年五輪の南北共催や東京五輪での南北合同チーム推進、非武装地帯の国際平和地帯化、南北鉄道・道路の連結などに言及したのに加え、「開城工業団地と金剛山観光再開のための努力も続けていくだろう」とも述べた。しかし、鉄道と道路の連結や開城工業団地、金剛山観光の再開に対北朝鮮制裁に抵触する部分が少なからずある。
ハリス氏はこれに対し、「(文大統領が)言及した一連の措置は米国との協議に基づきなされるべきだと考えている。我々は同盟として緊密に共同で取り組むべきだ」と指摘した。
韓国紙・朝鮮日報によれば、青瓦台(大統領府)はこの発言に、不快感をあらわにしたという。「米国大使が駐在国の大統領の語った新年の辞に反論めいた発言をするのは外交欠礼に相当する」ということだ。
もっとも、ハリス氏はインタビューで問われたから答えたのであり、進んで表明したわけではない。それでも、このように発言すれば青瓦台からどのような反応があるか、予想することはできただろう。
それでも敢えてハッキリとものを言ったのは、文在寅政権と米国の間ではこれまでにも、コミュニケーションのねじれが度々発生し、両国関係にきしみをもたらしてきたからだろう。米国が文在寅氏の物言いに敏感になるのは、故なきことではないのだ。
一方、金正恩党委員長から徹底的に「パッシング」を食らっている文在寅氏としても、南北対話への意思を鮮明にしないわけにはいかない。金正恩氏は最近、韓国をまったく相手にしていないが、そのような姿勢が強まるほど、米韓は葛藤を深める悪循環に陥る可能性がある。
金正恩氏にとっては無論、その方が都合が良い。米韓の足並みが乱れていれば、少なくとも、本格的な軍事的圧力を恐れる必要はないからだ。
(参考記事:「韓国外交はひどい」「黙っていられない」米国から批判続く)
2020年は始まったばかりだが、対北朝鮮での米韓協力と韓国の安保戦略は、向こう1年間も波乱含みになる予感がする。