内閣府は38年ぶりに新たな景気動向指数を作成
内閣府は経済全体の変化を表す景気動向指数に、サービス産業や消費に重きを置いた新たな指数を設ける。景気動向指数のうち現状把握に使う「一致指数」を巡っては、製造業の変動の影響が実態より強く出ているとの指摘があった。既存の指数は残し、新たな指数を参考値として公表することで景気を多角的に把握できるようにする(18日付日本経済新聞)。
内閣府が発表している景気動向指数とは、景気動向を示す複数の指標を使い、3か月前と比較して上昇した指標の割合を示し、これにより景気が上向きか下向きかの方向性を示すものである。景気に先がけて反応する先行指数、足元景気動向を知るための一致指数、景気の動向に半年から1年程度遅れるとされる遅行指数がある。
一致指数は景気局面や景気転換点の判断に用いられる。50%が景気転換点の目安となり、一致指数が3か月以上連続して50%を超えているときは景気拡大局面にあるとされ、下回っているときは後退局面にあるとされている。
一致指数では、鉱工業生産指数、鉱工業生産財出荷指数、大口電力使用量、製造業稼働率指数、所定外労働時間指数、投資財出荷指数、商業販売額(小売業、卸売業)、全産業営業利益、中小企業売上高、有効求人倍率を使っている。
この指数について専門家の間では製造業の動向に重点が置かれ、サービス産業が広がっている経済構造の変化を反映していないという指摘が出ていた。
このため有識者で作る内閣府の研究会が議論した結果、今の「景気動向指数」とは別に外食や旅行、医療などサービス産業の動きをより反映した新しい経済指標を設けることになった(25日付NHK)。
内閣府が景気の動向を示す指標を新たに作るのは38年ぶりとなる。内閣府は、この指標を来月下旬から参考指標として公表する予定。