2024年の金融市場を振り返る。7~9月
7月
財務省は2日に入札される7月発行の10年国債(375回債)で表面利率を1.1%と6月までの0.8%から引き上げた。10年国債の利率が1%台を付けるのは2012年3月以来、1.1%となるのは2011年12月以来となる。やっと日本の10年国債の利率が1%台に戻ってきた。
20年ぶりとなる新しい紙幣が3日に発行され、日銀から金融機関への引き渡しが始まった。紙幣のデザインの変更は、今の紙幣が発行された2004年以来、20年ぶり20年ぶり。一万円札に渋沢栄一、五千円札に津田梅子、千円札に北里柴三郎の肖像がデザインされている。
3日に7月に募集される(7月4日~31日)個人向け国債の発行条件等が発表された。変動10年の初回の利子の適用利率が0.72%(税引き前)となった。これは2012年1月の0.72%以来の高い水準となる。
欧州の債券市場で長期金利が短期金利を下回る「逆イールド」が解消する動きが出始めた。9日に英国では2年債と10年債の利回りが約1年ぶりに逆転。フランスでも解消した
11日のニューヨーク外国為替市場で、6月の米消費者物価指数の発表直後に急速に円安調整が起きて、ドル円は一時157円台半ばまで下落した。タイミングからみても介入が入ったとしてもおかしくはない。
選挙演説中に銃撃されてけがをしたトランプ前大統領は、共和党の全国党大会で大統領候補に正式に指名され、事件後、初めて公の場で支持者の前に姿をみせた。
岸田文雄首相は19日、長野県軽井沢町での経団連夏季フォーラムに出席した。「金融政策の正常化が経済ステージの移行を後押しする」と強調した。
自民党の茂木敏充幹事長は22日の都内での講演で、日銀について「段階的な利上げの検討も含めて金融政策を正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」と語った。
日銀は31日の金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物の金利をこれまでのゼロから0.1%から、0.25%に引き上げた。実質的なゼロ金利解除ともいえる。国債の月額の買入額を2年かけて3兆円弱に引き下げることも決定した。
8月
2日の東京株式市場では日経平均株価が2216円安となり、1987年10月20日のいわゆるブラックマンデーで3836円下げて以来の大幅な下げ幅となった。7月11日に42426円77銭まで上昇していたが、(引け値は42224円02銭)、2日のナイトセッションの日経平均先物は34800円となっており、高値から7000円近く下落した。
5日の東京市場は強烈なポジション調整の動きに見舞われた。日経平均の引けは4451円安となり、ブラックマンデーの下げ幅を上回った。また円高も進行し、ドル円は一時141円近くまで下落した(円高ドル安)。さらに債券先物は一時前営業日比2円を超す上昇となって、9時20分にサーキットブレーカーが発動した。日経平均先物も後場にサーキットブレーカーが発動した。、10年債利回りは1%割れどころか0.75%に低下した。
概算要求における国債の利払い費の計算に使う想定金利は2.1%にする方針とも伝えられた。2024年度予算の1.9%から引き上げる。
9月
企業の間で使われている紙の約束手形や小切手の新たな発行を、大手銀行3行が来年度中に終了することになった。
16日のアジア市場の取引時間帯にドル円は一時140円を割り込み、139円58銭近辺と2023年7月以来およそ1年2か月ぶりの円高ドル安水準を付けた。
欧州中央銀行(ECB)は12日の理事会で政策金利を0.25%引き下げると決めた。利下げは6月に開始してから2会合ぶりとなる。
米連邦準備理事会(FRB)は18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5%引き下げ、4.75~5.00%とした。
日本国債の先物取引で相場操縦をしたとして、証券取引等監視委員会が25日、野村証券に2176万円の課徴金納付を命じるよう金融庁に勧告した。