パソコンを買い替えた世帯はどれほどいるのだろうか
ソフトウェアを走らせて万能の働きを示すデジタル機器としての立場から、インターネットアクセスツールへとその主機能を移しつつあるパソコン。昨今ではスマートフォンにその役割の主役を奪われているとの話もあるが、さまざまなデジタル処理をする上で今なお欠かせない存在には違いない。今回は内閣府が2017年4月に発表した「消費動向調査」の内容を手がかりに、世間一般において、どれほどの世帯が耐久消費財の一つであるパソコン(デスクトップ、ノートを問わず)の買い替えをしたのかを確認する。
次以降の値は「該当年に買い替えをした経験がある世帯」を意味する。買い替え個数などは考慮されていないのには注意が必要となる。例えば1世帯で複数台のパソコンの買い替えをした場合でも(親子で一度に、兄弟一緒になどの事例は十分ありうる)、世帯上では1世帯の買い替えと見なされる。また、耐久消費財の調達には買い替え以外に新規購入の事例もあるため、各値がそのまま対象の耐久消費財の需要の増減と連動するとは限らない(もちろん多分に類似連動性は考えられる)。今件は各対象耐久消費財の買い替え動向を推し量る指標である。
まずは単純な買い替え世帯率。
2014年では実に13.3%の世帯でパソコンの買い替えが行われている。2014年は同年4月からの消費税率改定に伴う駆け込み需要、そしてWindows XPのサポート終了に伴うOS差し換えの必要性から生じるパソコンそのものの買い替え、2つもの大きな特需要因があった。そのため、買い替え世帯比率も大きく底上げされている。直近の2017年では6.2%。大よそ16世帯に1世帯がパソコンの買い替えをしていることになる。
続いて買い替えの具体的な理由別比率。
2014年は「上位品目」と「その他」の理由が大きな割合を示している。どの選択肢に自分の買い替え理由が該当するかは回答者が判断するので一概には言えないが、OSの差し換えや駆け込み需要による買い替えでは、少なくとも「故障」「住所変更」を選ぶのは考えにくいことから、残りの2つ双方が大きく上昇するのも納得できる。
直近では4.0%が「故障」を原因とした買換えの経験があるとしており、前年よりも0.6%ポイント増加している。全体比率が前年から変わらないのを合わせ見ると、故障以外を原因とする買い替え動機が減退しているとも解釈できる。
最後は直近年における詳細の属性区分別。
男性世帯の方が圧倒的に買い替え率は高く、中堅層が高めの値を示している。年収による傾向では、高年収世帯の方が買替率は高い。パソコンを買い替えるとなれば一定額がお財布から離れていくため、低年収ではなかなか踏ん切りがつかないのだろう。あるいは元々パソコンを有していないこともありうる。
実のところはもう少し長期間の動向を確認したいところだが、消費動向調査で算出できる元値の公開が始まったのは2014年分からなので、4年分しか計上できないのはやむを得ない話。来年以降逐次データを蓄積し、経年変化における動きを見ていきたいところだ。
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