欧州のエネルギー危機が深刻化、欧州を襲う熱波の影響で河川の水位低下も影響
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猛暑と雨不足が続くなか、セルビアでドナウ川が干上がり、第二次世界大戦で沈んだドイツ軍艦の残骸が見つかる異例の事態となっているとCNNが報じていた。ドナウ川だけではなく、欧州で猛暑が数週間も続いたことで各地の川が干上がっていた。フランス西部を流れるロワール川流域では乾ききった川底を散歩できるようになった。
欧州を襲う熱波の影響でライン川の水位が低下し、欧州域内物流への影響も懸念されていた。
欧州の河川輸送を担うライン川では連日の猛暑や雨不足が重なり、水位が大幅に低下。低水位時の特別サーチャージの適用や、船舶への貨物積載量を減らして運航するなどの措置を取っていたが、先週末から水位が40センチを割り込み、船舶の運航が困難な局面に直面している(16日付日本海事新聞)。
これにより原油や石炭などを船舶を通じて運ぶのが困難となりつつあり、ドイツ政府はこれまで「はしけ」で輸送していた石炭などのエネルギー関連貨物を、優先的に鉄道で輸送することなどを検討している。今後水位低下が解消されるめどは立っておらず、欧州主要コンテナ港で混雑が続いている。
流域の東欧諸国は貨物を運ぶはしけ船が航行できるように、川底の土砂を除去する浚渫を余儀なくされた。
欧州ではロシアが天然ガス供給を制限していることでエネルギー危機が発生した。
ドイツ連邦統計庁が19日に発表した7月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比37.2%と1949年の統計開始以来最大の伸びとなった。今度は気候変動で欧州のこうした問題が深刻化しつつある。
ライン川が航行不能となれば、燃料だけでなくあらゆる産品の物流が滞る。ここにきてドイツ南部で大量の雨が降ったため、水位は回復しつつあるとされていたが、その後は晴天が続いていることから、水位は再び低下する可能性もある。
今回の問題は天候に起因することで、いずれ水位は回復することが予想される。しかし、悪いときにはいろいろ悪いことが重なってしまうことが往々にしてある。英国の最大のコンテナ港フェリクストウ港では今月末にストライキの実施が予定されている。
欧州のエネルギー危機はなかなか収まる気配はなさそうである。
24日に欧州エネルギー市場で天然ガス価格が大幅に上昇した。指標のオランダTTFは1メガワット時あたり300ユーロをつけ、3月上旬以来ほぼ5カ月半ぶりの高値水準になった(25日付日本経済新聞)。