アメリカ合衆国のインターネット整備の実情をさぐる
インターネットへのアクセスツールは個人の場合、主に自宅にあるパソコン経由と手元に持つスマートフォン経由の二通りが想定される。双方とも自由に使えればベストだが、色々な事情で自宅にブロードバンド環境が無い人、スマートフォンを持っていない人もいる。スマートフォンの利便性を受け、自宅のブロードバンド環境を整備する代わりにスマートフォンを使うケースもある。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年4月に発表した調査結果報告書
「Declining Majority of Online Adults Say the Internet Has Been Good for Society」(※)から、同国の実情を確認する。
次に示すのは回答者のインターネットの整備状況について、当てはまる選択肢を選んでもらった結果。全体では65%の人がスマートフォンを持ち、自宅にブロードバンド環境があるとしている。
スマートフォンはあるが自宅にブロードバンド環境は無い人は20%。スマートフォンも自宅のブロード環境も無い人は15%。回答者の年齢階層別に見ると、年齢が上になるに連れてスマートフォンもブロードバンド環境も無い人が増えていく。他方、スマートフォンと自宅のブロード環境の双方がある人は18~29歳より30~49歳の方がむしろ高い割合を示しているのは、パソコンを整備する資力の問題のある無しに加え、スマートフォンのみで用事を充足できるために、パソコンを必要としない人が若年層にいることも考えられる。
人種別では白人の整備率(スマートフォンと自宅ブロードバンド環境の双方がある人か、少なくともスマートフォンがある人の割合。青系統色の部分)は高く、黒人、ヒスパニックは低い。人種による直接の違いでは無く、人種別の経済上の違いが反映されているものと考えられる。学歴も高学歴の方が整備率は高いが、知識欲や仕事の上での必要性に加え、世帯年収と多分な連動性があるからと見るのが妥当だろう。
そして世帯年収別では高年収の方が整備率は高い割合。7.5万ドル以上の世帯では87%がスマートフォンと自宅ブロードバンド環境の双方があるが、3万ドル未満では45%とほぼ半分の割合でしかない。居住地域別の違いも少なからず世帯年収に連動したものだろうが、それとは別に地方では、ブロードバンド環境そのものが整備されていない、あるいはコストが割高になる問題も影響しているのだろう。
インターネットは今や日常生活に欠かせない存在である以上、ブロードバンドでのアクセスが容易にできる環境が自宅にあること、そしてスマートフォンが利用できる状況が整備されていることは、呼吸をしたり水を飲むぐらいに欠かせないものとなっている。その必要不可欠な存在が、恐らくは多分に、経済状態によってアクセスができない人がいる実情は、小さからぬ問題に違いない。
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※Declining Majority of Online Adults Say the Internet Has Been Good for Society
アメリカ合衆国内に住む18歳以上の人に対し2018年1月3日から10日にかけて電話によるインタビュー形式で行われたもので、有効回答数は2002人。回答者のうち500人は固定電話、1502人は携帯電話経由。国勢調査の結果に基づきウェイトバックが実施されている。なお回答者のうちインターネット利用者は1785人。
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