10月21日、24日の覆面介入は6.3兆円と過去最大規模。米国には通達なしか
9月21日のFOMCでは政策金利の0.75%引き上げを決めた。これを受けて外為市場では日米の金融政策の方向性の違いを意識した円売りドル買いが入り、ドル円は144円台を付けていた。
22日の日銀の金融政策決定会合では全員一致で現状維持を決定。初参加となった高田審議委員、田村審議委員も賛成に回った。
財務省の神田財務官は22日午後に、為替介入の可能性を問われて「スタンバイの状態と考えていい。いつでもやる用意がある」と語った。
22日に政府・日銀は1998年6月17日以来となるドル売り円買い介入を実施。この際には2.8兆円の外貨準備を取り崩して介入を行った。
当日のドル円は145円台から140円台までドル円は下落したが、140円台でブレーキが掛かった。
その後は介入警戒も残り、恐る恐るドル円は上昇してきた。介入効果は皆無ではなかったものの、結局、ドル円は介入時の水準を上回ってきた。
10月21日のニューヨーク時間の朝方にドル円は一時、151円94銭まで上昇し、32年ぶり安値を更新した。米10年債利回りが4.33%とほぼ15年ぶりの高水準をつけるなど、米国債利回りの上昇を背景とした円安となっていた。
WSJは21日、12月のFOMCで利上げペースを緩める可能性を巡り、どのようにシグナルを発するべきかを討議する公算が大きいと報じた。
これを受けて、市場ではFRBの利上げペースが鈍化するのではとの見方も出て、米10年債利回りは反転低下し、4.22%に低下した。
このタイミングで、大口の円買いドル売りが入った模様で、日本時間の21日の夜、ドル円は一時144円台まで下落した。
日銀が公表した当座預金残高の見通しからの推計によると、この際の円買いドル売りの為替介入が5.5兆円規模に達した可能性がある。この規模は円買い介入としては過去最大となる。
日経新聞は22日付の電子版で関係筋の話として、政府・日銀が円買いドル売りの為替介入に踏み切ったと報じたが、日本の財務省はコメントを避けた。つまり今回は覆面介入となっていた。
24日の東京時間の朝方に再び、大口の円買いドル売りが入った。ドル円は145円台に低下した。こちらも覆面介入が実施されたとみられる。
財務省が31日に発表した9月29日~10月27日の為替介入実績は6兆3499億円となっていた。単月の円買いドル売り介入として過去最大を更新した。
米国のイエレン財務長官は24日に「日本が行った、または行ったと示唆した為替介入について私は知らない」と述べた。
米財務省は9月下旬の介入を日本政府が認めた後には「我々は日本の行動を理解している」とコメントしていた。しかし、10月21日以降の覆面介入時には事前通達等はなかったようである。