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「能登には来ないで」の現実~能登半島地震2か月 第4回

山田健太専修大学ジャーナリズム学科教授
七尾市の避難所(撮影は筆者、以下同じ)

こ第4回は穴水町と七尾市のリポートをします。

■穴水

穴水町の中心街
穴水町の中心街

金沢、志賀、七尾、穴水と半島を進むほどに、被害の大きさが一目瞭然です。市街地ではようやく水道が回復し、飲食店再開がニュースになっていました。行政関係者の姿が多く目につきました。取り壊しや修繕も始まっています。

赤紙と黄紙。安全上、どちらも居住できないわけですが、黄の場合は家屋内へ立ち入りをする人が多いと聞きました。

「赤」危険
「赤」危険

「黄」要注意
「黄」要注意

電車はまだ通りませんが、仮設住宅の建設は始まっていました。仮設の給油所も設けられています。

のと鉄道・穴水駅入口の張り紙
のと鉄道・穴水駅入口の張り紙

穴水市内での仮設給油所
穴水市内での仮設給油所

穴水町中心街で建設中の仮設住宅
穴水町中心街で建設中の仮設住宅

■七尾

七尾駅前
七尾駅前

七尾の特徴は、一見、被災を感じさせない町の佇まいです。しかし、いま現在も多くの地区で断水が続き、日常生活を取り戻すことができずにいます。なんといっても大変なのはトイレ問題とのことです。1か月以上もトイレが使えない苦痛は想像を超えるものです。

七尾駅頭
七尾駅頭

被災地最大規模の矢田郷地区コミュニティセンターでは、いまだ150人近くの住民の避難が続いています。避難所を訪れた日は偶然、カタリバによるスガシカオのミニコンサートが開催されていました。2日間で6(4?)公演だそうです。

矢田郷地区コミュニティセンター内の七尾市文化ホール(右側の建物)にボランティアセンターが開設されています
矢田郷地区コミュニティセンター内の七尾市文化ホール(右側の建物)にボランティアセンターが開設されています

ようやくではありますが、ボランティア・バスが並んでいました。金沢市内までピストン輸送です。ボランティアセンターも開設され、個人ボランティアの受付も始まっています。ただし、全体としてボランティアの圧倒的な少なさが、1か月以上たった能登の大きな課題と言えるのではないでしょうか。あまりにも少なくて「異常」な状態です。県知事が仕切っていて各自治体や民間(VC=ボランティアセンター)に任せようとしないせいだ、との声がよく聞かれました。一方で、保守的な土地柄のうえ、外部者による空き巣窃盗などの事件もあり、受け入れに懐疑的だともいわれます。すれ違う知らない人を見かけるたびに、誰だか聞いてます、とのお話もありました。

夕刻、宿泊地の金沢市に戻るためのボランティア輸送バス、この日は4台
夕刻、宿泊地の金沢市に戻るためのボランティア輸送バス、この日は4台

廃校となった旧穴水町立向洋中学校の体育館に「石川県災害ボランティア 奥能登ベースキャンプ」が設置され、2月26日から稼働中です。1泊2日で「参加費」1000円と告知されており、ようやくながら出来たことは評価ですが、なぜ1泊のみなのかよくわかりません。志賀町相神にあるキャンプ場「能登リゾートエリア増穂浦」には、一張り(1棟)で5~6人が寝ることができる「インスタントハウス」が3月4日から15棟設置予定だそうです。東日本大震災の時の、石巻専修大学のボランティア・テント村が思い出されます。広いグラウンドを見渡す限り、テントで埋め尽くされていました。

専修大学ジャーナリズム学科教授

専修大学ジャーナリズム学科教授、専門は言論法、ジャーナリズム研究。日本ペンクラブ副会長のほか、放送批評懇談会、自由人権協会、情報公開クリアリングハウスの各理事、世田谷区情報公開・個人情報保護審議会会長などを務める。新刊に『「くうき」が僕らを呑みこむ前に』のほか、『法とジャーナリズム 第4版』『ジャーナリズムの倫理』『愚かな風~忖度時代の政権とメディア』『沖縄報道』『放送法と権力』『見張塔からずっと~政権とメディアの8年』『言論の自由~拡大するメディアと縮むジャーナリズム』『ジャーナリズムの行方』『3・11とメディア』『現代ジャーナリズム事典』(監修)など。東京新聞、琉球新報にコラムを連載中。

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